日本中の中学が武道を必修授業として取り入れることになった。相撲と剣道、柔道という三つの候補の中から、それが一番やりやすそうだというので、圧倒的に多数の学校が柔道を教えることにしたようだ。ほとんどの場合では、経験豊富な柔道指導者が自校に一人もいないのに! そもそも柔道を自らちゃんとやったことがある(たとえば柔道二段保持者といった)教師がまったくいない学校も少なくないと見られているというのに!
文部科学省というのはいったい何を考えていたのか? 教師たちの中に、生徒たちにある程度の技術と精神を、しかも安全に教えることができる武道の実体験者が日本全体で、何人いるのかについてさえ正確には調査をしていなかったのに、あるいは、指導者が不足していることは分かっていたのに、何の手も打たずに、日本の子供たちに日本の武道を学ばせることはいいことだから、とにかく生徒たちには教えることにする、という無謀な決定をしてしまったのだ。
その無謀な決定から自らの身を守るためにでもあるかのように、ほとんどの中学校では、柔道を教えるといっても、それは「受け身」のやり方までで、生徒同士が組んで技を掛け合う「乱取り」はやらせない、というのが実情だそうだ。それで、柔道を教えたということになるのか? 拙速を愛してやまない文部科学官僚諸氏は、現場での混乱やためらいから目を背けて、とにかく新事業が始まった、とにんまりするのかもしれないが、生徒たちは、現場教師のとまどいや狼狽ぶりを見せつけられて、武道の技術や 精神を学ぶ前に、こんな程度の、粗雑極まりない準備で大きな事業を始めてもかまわないのだ、というような誤った考えを身につけてしまうことだろう。用意周到などといった言葉には関心を抱かない生徒たちが日本中に急増することだろう。
中学校の教師たちの中に、必要な数の武道指導者をまず育てよう、というごく当たり前の考えが頭になかった文部科学官僚! これでは日本はよくならない。【江口 敦】
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