ハンコックパークの総領事公邸で行われたワタナベ氏に対する叙勲伝達式に集まったワタナベ氏の家族や友人、日系社会のメンバーら

新美潤総領事から賞状を授与されるビル・ワタナベ氏(左)

 退職祝い式典の前日、ハンコックパークの総領事公邸で日本政府の平成24(2012)年春の叙勲受章者に対する伝達式が行われ、ワタナベ氏は家族や友人、日系社会のメンバーらが見守る中、新美潤総領事から「旭日双光章」と賞状が授与された。
 南カリフォルニアからは、同氏の他に小東京実業組合議長のフランセス・カズコ・ハシモト氏にも「旭日双光章」が授与される予定で、ハシモト氏は6月6日に東京で行われる天皇拝謁および勲章伝達式に臨む。両氏ともに、日系社会の発展と日米両国の親善に寄与したことが認められての叙勲。
 伝達式で新美総領事は、ワタナベ氏が6月30日でLTSCを退職することに触れ、「第二の人生の始まり」と祝いの言葉を贈るとともに、同氏の長年にわたるコミュニティーへの貢献を通じ、日系社会の多くが恩恵を受けてきたと敬意を表し、引退後も引き続き協力し合える関係を楽しみにしていると述べた。

 ワタナベ氏はこの日を「特別な日」と位置づけ、「どの国からであれ、政府から自分の仕事を認めてもらえるのは特別なこと。中でも自分の両親の出身国である日本からの評価は、さらに特別な意味を持つ」と感謝。自身の父親も日本政府から勲章を受けたことがあると述べ、「誇りに思う」と喜びの言葉を述べた。
 LTSC理事で、40年来の友人アラン・ニシオさんが代表であいさつ。「自分の意見は少し偏っているかもしれないが」と前置きした上で、「『社会福祉の向上および増進、日米間の親善に寄与した人物』という勲章の意味を見ると、ビルはまさに勲章を与えられるにふさわしい」と述べ、小東京の今があるのは、同氏の尽力のおかげと称賛。日本語を話す一世の福祉支援サービスから始まったLTSCが32年後の今も力強く残っているのは、ワタナベ氏の先を見据えたビジョンのおかげだと述べ、日系社会が誇る素晴らしい人物だと、その多大な貢献に感謝した。
 乾杯の音頭を取ったワタナベ氏の後任、ディーン・松林さんは、「支援をもっとも必要としている人々に的確なサービスを提供し、小東京の歴史保存に力を注いできただけでなく、次世代の若者にとっても信頼のおける良き指導者だった」とワタナベ氏を表現。「笑顔でリタイアメントを迎えてほしい」とグラスを掲げた。
 日本メディアの取材に対しワタナベ氏は、「(受章の知らせを聞いて)びっくりした」と日本語で答え、今後の日系社会に望むこととして、「日系人と日本人の絆を深め、今以上に仲良く協力し合って社会を築いていってもらいたい」。今後は日系、非日系にかかわらず、日本文化に興味のある人や日本文化を習得している人など全員を日系社会に歓迎し、皆で日本の歴史と文化を継承していけたら理想だと述べた。
【中村良子、写真も】

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