感謝状を授与された芸能部の中島部長(右端)と歴代部長
 北米沖縄県人会芸能部(中島理智子部長)の創立25周年を記念した祝賀会が3日、モンテベロ市のクワイエットキャノンで催された。日系諸団体からの来賓や同県人会の呉屋君子会長をはじめ、およそ320人が集まる中、琉球舞踊や唄、琴演奏などが披露され、これまで南加地区で琉球芸能の普及に尽力してきた歴代部長らの功績をたたえるとともに、同芸能部の今後のさらなる発展を願った。
男性とは思えないほど妖艶な踊りを披露した最高賞受賞者のジョセフ・ジョーンズさん
 琉球舞踊は中国および東南アジアとの長年の交流によって育まれ、琉球王朝の庇護のもと継承された沖縄の伝統芸能。その独特のリズムや、色鮮やかな衣装に身を包んで踊る優雅な舞は多くの人を魅了する。当初は男性のみで、明治以降になると、女性も踊るようになった。
 第二次世界大戦時には、沖縄で激戦が繰り広げられる中、そのメロディーは沖縄の人々の心の糧となり、希望への音色となった。2009年には琉球舞踊は「国指定重要無形文化財」となる。
 この琉球芸能を、沖縄県に所縁のある人が多く住むロサンゼルスでも広め、後世に伝えようと、1987年に初代部長の沢岻安和氏が同芸能部を創設。当初は12団体だったが現在ではおよそ20団体が所属し、各流派の師範が伝統の普及に努めるとともに、生徒育成に励んでいる。
 同芸能部の中島部長によると、部員の中にはアメリカで生まれ育ち、日本語も沖縄の方言も分らない子どもたちが多いという。しかし両親や祖父母の影響で沖縄の独特のリズムに興味を持ち、いったん習い始めると夢中になる人がほとんど。琉球芸能の魅力は「心がひとつになり、見ている人も楽しめること」と力を込める。
 祝辞のあいさつに立った南加県人会協議会の岩下寿盛会長は、毎年10月に行われる同会主催の親睦演芸会にも同芸能部が毎年参加していることにふれ、日系コミュニティーにも沖縄文化は根付いていることを強調した。
 沖縄県人会の呉屋会長は「芸能部は日系3世、4世の若い世代の部員を増やし、同県人会の発展に大きな役割を果たした」と述べるとともに、25年間、アメリカで長く厳しい芸の道を切り開き、沖縄の伝統を広めてきた師範たちのこれまでの功績をたたえた。
 祝賀会では、同芸能部の発展に尽力してきた歴代部長らに対する感謝状の授与式も行われた。
 昼食をはさみ、第2部では、各流派による琉球舞踊が披露された。今回の舞台では記念すべき25周年ということもあり、師範たちも壇上に立ち、見事な踊りを披露。古典女踊りや男踊り、空手舞踊など、きれのある舞いに参加者からは手拍子が巻き起こり、会場は大いにわいた。
 また毎年沖縄で行われる琉球新報主催のコンテストで、08年に舞踊で最高賞を受賞したジョセフ・ジョーンズさん、11年に舞踊で新人賞を受賞した饒平名京さん、同年舞踊と琴で最高賞を受賞した山内亜希子さんの踊りも披露された。
 3人は「沖縄の伝統芸能を知らない人にも、その素晴らしさを知ってもらい、若い世代の育成にも力を入れたい」と語り、沖縄のアイデンティティーを守り、継承する若者の舞台を、会場に集まった参加者は誇らしげに眺め、その舞に見入っていた。【吉田純子、写真も】

「上り口説」を踊る新人賞受賞者の饒平名京さん(左)と最高賞受賞者の山内亜希子さん
祝儀演奏を披露する各流派の代表者たち

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