禅宗寺で盆踊りを楽しむ参加者
 小東京の禅宗寺北米別院と西本願寺羅府別院は7、8の両日、それぞれの境内で盆祭りを催した。両寺院は毎年7月の第2週目の週末に盆祭りを同時に開いており、また1街を挟んで歩いて数分と近いため、両方に参加する人も多く、大勢の人出で賑わった。
民謡・松豊会の演奏のステージで唄う子どもたち
 両寺院の境内には午前中から出店が並んだ。かき氷やたこ焼き、沖縄だんご、照り焼きチキン・ビーフ、おはぎなどの日本食の屋台が並んだほか、金魚すくい、輪投げなどに子どもたちが興じ、日本の夏祭りらしさを演出。古書や雑貨を売るフリーマーケットと、新鮮な野菜と果物を並べたファーマーズマーケットも活気を与えた。食べ物と商品は寄付を受け、イベントはボランティアの手で運営、売り上げはすべて寺の運営資金に充てられる。  
 夕日が沈む頃になると、待ちに待った盆踊りが始まった。法被・浴衣姿の参加者が、櫓を取り囲み会場をぎっしりと埋めた。幾重にも輪を作り音頭に合わせて踊り、祭りは最高潮に達した。
 今年で54回目を迎えた禅宗寺の盆祭り実行委員長は、スニール・バナカーさん。インド系で2年前に禅の瞑想を体験してから、寺に通うようになったという。インターネットなど最新技術が発達したとしても、禅が哲学を持ち心のよりどころになることを強調する。自身3度目の盆踊りについて「違った人種と宗教、性別、年
西本願寺でコイン投げに興じる子どもたち
齢の人たちが垣根なく参加し、日本文化を楽しんでいる。ダイバーシティーを感じ、アメリカの縮図のように映りよかった」と話した。小島秀明開教師は「普段は寺に来ない人が盆祭りには来てくれていいこと」と喜んだ。
 盆踊りでは、今年も櫓に上って太鼓と鉦を打ち鳴らした西本願寺・安孫子洋輪番。2日間を振り返り「とてもよかった。先祖を弔う本来のお盆の意味を理解する人が増えている」と指摘。「特にLA地区の仏教の寺院に来て育った青少年が多く見られて、今の自分がいるのは、先祖や両親、友人のお陰であることを彼らは認識している。頼もしい」と評価した。多くの奉仕に対しては「ただただ、『サンキュー』『サンキュー』とばかり言っていた。祭りが済んだ次の日には、(会場の境内を)元の状態にきれいにしてくれ、すごかった」と謝意を表した。【永田潤、写真も】
大勢の参加者で賑わった西本願寺の盆踊り

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