第二次世界大戦の勃発で、敵性外国人としての日系一世ばかりか、れっきとした米国市民であるその子供たちまでが強制的に収容されたキャンプ…。
 日系人がそれらのキャンプでの暮らしを経験した日から70年の歳月が流れ、一世の体験者が生存しているという話は中西部ではもう聞かない。
 2009年に初めて開催されたシカゴ・エリアのキャンプ・リユニオンは今年で3回目。
 二世たちはスクリーンに映し出される収容所風景に思い出を呼び起こされて、次々と当時のエピソードを語っていた。
 今夏はどういうわけか6月から8月にかけてコミュニティーで亡くなった方が多く、「この2カ月でお葬式に7回参列しました」という知人もいて、思えばそのようなキャンプ体験者のエピソードを聞く機会もさらに少なくなることだろう。
 この小さな日系イベントにゲストとして在シカゴ日本総領事館の岡村総領事ご夫妻が参加してくださった。
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 参加者の体験談を聞きながらご夫妻とも実に熱心にメモを取っておられたが
 「シカゴに来たばかりの昨年10月、シカゴ歴史博物館を訪れ、そこの小さな展示コーナーで日系人の皆さんが戦時中強制収容されたことを、恥ずかしいことですが初めて知りました。今日も皆さんから大変なご苦労があったことを伺い、本当に勉強になりました」
 と話された。
 昨年総領事館からコミュニティー担当というセクションができたという連絡をもらった時の、「どうして今ごろ…」という疑問がこれでやっと解け、そこに岡村総領事の配慮があったことを思った。
 最後に司会者が「亡くなった一世のご苦労に感謝をこめて、みんなで炭坑節を踊りましょう」とお開きの音頭を取ると、総領事夫妻も気軽に踊りの輪に入られた。
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 そしてこの日参加者たちは、総領事が11カ月というまれに見る短かい任期で近く東京に帰国されることを知ったが、任期の長短は問題ではなく、真摯(しんし)な態度で地元の日系社会を知ろうとしてくださった努力に感謝したい。【川口加代子】

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