派遣される若手日本語教員たちは将来日本語教育に携わり、海外の教育現場で日本文化の普及に努めたいとの思いが強い若者たち。これから原則2年間、全米各地で日本語の主担任教師の指導の下、TAとして授業に参加する。
この日は昨年から同プログラムに参加する第1期の教員13人と、各校の日本語プログラムの主担任21人も出席。
あいさつに立った同基金の伊藤実佐子所長は、教員たちに、「日本語を学び、将来日米の懸け橋になりたいと願う米国の子どもたちに教えるという大事な役割を担っていることを再認識して下さい」と述べるとともに、米国文化も吸収し「滞在生活を楽しんで」とエールを贈った。
ワシントン州のカミアック高校に配属される平田若菜さんは、カリフォルニア州の大学を卒業後、日本でIT関連の商社に就職。日本人なのに日本文化について説明できないことに違和感を覚え、「社会人になってから日本語教師への夢が芽生えた」と語る。プログラム終了後は「自分を必要としてくれる国の生徒たちに日本語を教えていきたい」と力を込める。
ニューヨーク州のクラークストン高校の日本語プログラムで主担任を務める内山明子さんは約25年間、米国で日本語教育の現場に携わる。「プログラム参加者は世界各国で日本語を教えていた人も多く、すぐに即戦力になれる教師ばかり」と太鼓判を押す。
90年代初めは、日本の経済も良く、将来のビジネスのために日本語を学ぼうとする生徒が多かったが、最近ではポップカルチャーの影響からか「『日本文化が好き』、『日本人の何事にも丁寧に対応する国民性が好き』と純粋に日本を好きになってくれる学生が増えた」と語り、日本語を学ぶ動機にも変化が現れているという。
教師たちのこれまでの経歴はさまざまだが、共通しているのは、「米国の子どもたちに日本について教えたい」と思う強い気持ち。互いの志を確認し合った10人の若者たちは12日、それぞれの赴任地へと出発した。【吉田純子、写真も】