日本語プログラムの主担任と談笑する今年の参加者たち
 国際交流基金が主催する「J-LEAP(ジェイ・リープ)」プログラムの今年の参加者10人の壮行会が11日、同基金オフィスで行われた。同プログラムは米国9州10都市の初中等教育機関の日本語クラスに日本人のティーチングアシスタント(TA)を派遣するもので、厳しい審査の末選ばれた10人の若手教員たちはこれから2年間、全米各地で日本語教育の普及に努める。
あいさつに立つ同基金の伊藤所長
 同プログラムは2010年11月、当時の菅直人首相とオバマ大統領両首脳会談中に提案された日米の若者の交流強化の一環として、11年に同基金が立ち上げ、今年で2年目を迎える。
 派遣される若手日本語教員たちは将来日本語教育に携わり、海外の教育現場で日本文化の普及に努めたいとの思いが強い若者たち。これから原則2年間、全米各地で日本語の主担任教師の指導の下、TAとして授業に参加する。
 この日は昨年から同プログラムに参加する第1期の教員13人と、各校の日本語プログラムの主担任21人も出席。
 あいさつに立った同基金の伊藤実佐子所長は、教員たちに、「日本語を学び、将来日米の懸け橋になりたいと願う米国の子どもたちに教えるという大事な役割を担っていることを再認識して下さい」と述べるとともに、米国文化も吸収し「滞在生活を楽しんで」とエールを贈った。
 ワシントン州のカミアック高校に配属される平田若菜さんは、カリフォルニア州の大学を卒業後、日本でIT関連の商社に就職。日本人なのに日本文化について説明できないことに違和感を覚え、「社会人になってから日本語教師への夢が芽生えた」と語る。プログラム終了後は「自分を必要としてくれる国の生徒たちに日本語を教えていきたい」と力を込める。
「日本に関する情報を発信する人間電波塔になりたい」と決意を語る今年の参加者の平田さん
  昨年からペンシルベニア州のオルダーダイス高校に赴任し、今年2年目の鉾之原秀平さんは、「生徒は日本のポップカルチャーが大好き。絵カードでアニメのキャラクターを使うと楽しんでくれる」と工夫しながら授業を進めているようだ。
 ニューヨーク州のクラークストン高校の日本語プログラムで主担任を務める内山明子さんは約25年間、米国で日本語教育の現場に携わる。「プログラム参加者は世界各国で日本語を教えていた人も多く、すぐに即戦力になれる教師ばかり」と太鼓判を押す。
 90年代初めは、日本の経済も良く、将来のビジネスのために日本語を学ぼうとする生徒が多かったが、最近ではポップカルチャーの影響からか「『日本文化が好き』、『日本人の何事にも丁寧に対応する国民性が好き』と純粋に日本を好きになってくれる学生が増えた」と語り、日本語を学ぶ動機にも変化が現れているという。
 教師たちのこれまでの経歴はさまざまだが、共通しているのは、「米国の子どもたちに日本について教えたい」と思う強い気持ち。互いの志を確認し合った10人の若者たちは12日、それぞれの赴任地へと出発した。【吉田純子、写真も】

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