小東京にある日米文化会館(写真=マリオ・G・レエス)

 フランスで資金流用罪の有罪判決を受けていたことが発覚し、22日に辞任した小東京にある日米文化会館のグレッグ・ウィリス前館長問題に関し、日系人の公民権や補償を訴える団体「NCRR(Nikkei for Civil Rights and Redress)」は、同館理事会に対し、事の発端やいきさつを明確にし、コミュニティーにきちんと説明することを求める声明を発表した。
 ウィリス氏はフランスで盗品所持、企業資金乱用、資金流用による倒産の罪に問われ、審問に出廷しなかったため国際逮捕状が出されている。同国の裁判所は2009年9月8日、本人不在のままウィリス氏に禁錮5年、2000万ユーロ(約2500万ドル)の罰金を言い渡した。また、カナダでも自動車部品工場2社の閉鎖などに関して2件の裁判で訴追されていると地元メディアでは報じられている。
 NCRRは声明の中で、「7カ月という短いウィリス氏の就任期間に、従業員に対する低待遇や柔軟性のない経営スタイル、非友好的な職場環境、従業員のモラル低下などといった問題があることを把握。少なくとも8人以上の従業員がレイオフされ、2人が仕事絡みのストレスを患っている。また、従業員は理事会メンバーにこれら問題を提起したが、聞き入れてもらえなかった」と述べ、日米文化会館に次の疑問に対する回答を求めている。
 (1)同館理事会はウィリス氏の「トヨタ経験」だけを見て、採算性の才覚があると判断したのか(2)なぜ、これら従業員に対する待遇の悪さが続いたのか(3)過去に犯罪歴のある人物がなぜ採用されたのか―など。
 同館理事会からこれらに対する回答は29日朝現在ないが、同会は28日、新館長が決まるまでの間の暫定館長(CEO)に、小東京サービスセンター前所長のビル・ワタナベ氏、暫定業務責任者(COO)にチャイナタウンなどでリーダーとしてコミュニティーサービスに従事しているデボラ・チン氏、暫定副館長にキース・シオザキ氏をそれぞれ任命したと発表した。【中村良子】

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