島国、日本。列島はすっぽりと海に囲まれ、大小の島々が存在する。その海に浮かぶ島々をめぐってここ数年、周辺諸国ともめている。
 北方領土問題では日本は、ロシアとソ連時代から真っ向から話し合いを継続するが、それ以外の交渉は棚上げ。その間に各国は国際的に力をつけ、竹島では軍隊の駐留という実行支配を許してしまった。問題を再度先送りにすれば、次の世代はさらに困ることだろう。反日運動など、経済や文化交流などに与える影響は大きいが、今はみんなに覚悟して耐えてもらいたい。ロシア、中国、韓国は強敵。道のりは険しく、政府の外交に期待したい。
 尖閣問題で、政府に重い腰を上げさせたのが石原都知事だ。緊迫の度を増している日中関係の原因は、島の国有化であり、東京都が購入の意志を示したことに端を発する。都知事は反中国発言を繰り返し、中国から嫌がられている。失言が飛び出さないかと、ヒヤヒヤするが、日本の本音もズバズバ言ってくれ頼もしい。沖縄に属する島の他の地方自治体による購入など、都知事の他に誰が思いつくのだろうか。感服した。
 知事は、メディアを巧みに利用する。島購入の意志表明は日本ではなく、世界に伝わるワシントンで行った。周到な計画があったに違いない。大臣経験もあり、政府とも話し合っての実行だったことが推測される。だから、国有化表明時には、反対はしなかった。島の購入費の寄付金は全額、国に譲るとしていて、国と国民のことを本当に考えている。
 都知事に次ぐ発言力のある地方政治家は、大阪の橋下市長だろう。奇抜なアイデアで改革を提唱、実行に移しやってのけ、求心力は絶大。だが、少々過激な発言には困る。慰安婦問題では「証拠がない」と言ったが、相手の国民感情を逆なでするのはよくない。領土問題では、弁護士らしく国際司法裁判所で「法と正義による解決を」と主張し、同感した。この問題は2国、あるいは台湾を含めた3国間の当事者の交渉では難しすぎる。【永田 潤】

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