第一幕では松豊会と民謡ステーションのメンバーが秋田、新潟、福島、高知県など日本各地の民謡の名曲を唄い上げた。端唄「夜さくら」では唄に合わせて坂東秀十美社中が美しい日本舞踊を披露し、日本情緒漂うステージとなった。
第二幕ではいよいよ特別公演プログラムが開幕。唄、三味線、尺八、太鼓、囃子、踊りにいたるまですべてを日本からの一行が担当した。
島根県の「安来節」では大師範2人が歌声を披露。「幼少の頃から安来節を聞き、歌いながら育った」という佐藤松弘美にとっては特に思い入れのある唄。同じ唄でも歌い手によって曲の印象が代わり、それぞれの特徴が見事に反映されていた。
安来節の調子に合わせて踊る「どじょう掬い」では唄を今岡淑子大師範、踊りを正調安来節一宇鳥流どじょう掬い家元の一宇鳥美明が担当。手ぬぐいを被ってざるを持った一宇鳥が、ひょうきんな顔でどじょうをすくう動作をコミカルに踊ると、会場からは一気に笑いの渦が巻き起こった。
修業時代の思い出話に花を咲かせる佐藤松豊(右)と佐藤松弘美
佐藤松弘美は佐藤松豊の妹弟子にあたり、2人は師匠である佐藤松子のもと、厳しい修業を積んだ。内弟子時代の思い出話に花を咲かせ、「(松豊が)LAで多くの人に民謡を伝えているのを目で見て肌で感じることができた。大変尊敬する先輩」と語り、功績をたたえた。
最後は観客も交え全員で「鹿児島おはら節」を熱唱。以前、松豊会に所属していたという有村勇二・節子夫妻は「日本からの本場の民謡はなかなか聞く機会がないので、鑑賞できて良かった」と語り、力強い歌声に聞き入っていた。【吉田純子、写真も】