ラモス逸子さんの作品「地獄の海」(写真左奥)と山本美稲さんの「天翔る龍の魂」(中央奥)の前であいさつに立つ生田会長(中央)
 米国で「日本の書」の普及を目的に活動する米国書道研究会(生田博子会長)は13日、日米文化会館(JACCC)ギャラリーで「現代書七人展」のオープニングセレモニーを催した。来賓として出席した須賀正広・在ロサンゼルス日本総領事館首席領事をはじめ、南加日系商工会議所の竹花晴夫会頭ら日系諸団体の代表者がリボンカッティングを行い、7人の門下生の作品の展示を祝福するとともに、書道の発展に貢献してきた同会のこれまでの功績をたたえた。

作品「堅」を書いた時の筆の使い方を来場者に説明する松岡八十次さん(左)
 21日まで開催される「現代書七人展」には同会創設者である故生田観周氏の遺墨のほか、生田会長とその門下生で産経国際書会の役員も務める奥達子さん、加柴律子さん、ラモス逸子さん、松岡八十次さん、山本美稲さん、松永満智子さん、中村達司さんの7人の作品が展示されている。
 作品はこれまで米国と日本で発表してきた現代書作品の中から選ばれ、各人の人間性、世界感、芸術性が反映された力強くメッセージ性の強い作品が揃った。
 会場では普段あまり目にすることのない現代書を前に、制作行程などについて作者に直接質問する来場者の姿も目立った。
 出展者のひとり奥達子さんは、昨年の東日本大震災を受け書いた作品を展示。「震災を生き延び、強くたくましく生きる人々の姿を書いた」と語り、作品には復興を願う気持ちが込められた。
 須賀首席領事は、約半世紀にわたり米国で書道の発展に努めてきた同会のこれまでの歴史を称賛するとともに「政府が日本文化の普及の大切さを悟り、今後もさらに協力していかなければならない」と述べ、祝福の言葉を送った。
 生田会長は「日本で書道を習っている人と米国の自身の門下生たちの間に技術の差はなく、高い目標とともに今日まで教えてきた」と語り、「同会の歩みは生徒の努力の証である」と力を込めた。
 一方で長い年月をかけて技術を習得することから、こうした忍耐を知らない若い世代の入会が遠のいていることを受け、「今後は米国育ちの日系2世3世にも英語で書道の魅力を幅広く伝えてもらい、次世代の後継者育成を図っていきたい」と抱負を述べた。 【吉田純子、写真も】

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