先月、実家の父の古希の祝いに一時帰国した。深夜の羽田空港に車で迎えに来てくれた父は、相変わらずタバコを毎日一箱吸うヘビースモーカーだが、母によると毎年の健康診断でどこも悪くないという残念(?)な結果で、今もフルタイムで働き、ジム通いとゴルフも欠かさないためか、いたって元気な様子で一安心。
 郊外へ約30分走ると、四、五十メートルおきにコンビニの明かりが煌々と光っている。深夜のため店内にはほとんど人影がない。「節電」の2文字が頭に浮かぶ。飲料メーカーで働く父によると、「昔の酒屋、米屋がコンビニに変わった。人口が増えているわけではないのに、店が増えすぎて各社飽和状態。節電も音頭ばかりで、どこも率先してやらない」とのこと。
 数日後、娘の七五三参りに鎌倉の鶴岡八幡宮に家族で出かけた。秋の観光シーズンのためかなりの人出だ。境内で弟と話をしていると、もうすぐ3人目の子供が産まれるという。「最近は3人兄弟の子供がたくさんいる」というので驚いた。
 ロサンゼルスのように車がなくてもバスや電車、タクシーで行きたいところに行けるのが日本のいいところ。今回実感したのは、どの乗り物にでも年配の方がとても多いということだ。高齢化社会を痛感。また、地方の駅前ではシャッターが下りたままの店が多く、全体的に閑散としていて、寂しい雰囲気だ。郊外では食べ放題に鞍替えしてる店が増え、すし、中華、イタリアン、焼肉となんでも揃っていて低価格で味もおいしい。
 帰国直前に昔からの仲間と都内で食事をしたが、駅ビルの居酒屋などは相変わらず仕事帰りのサラリーマンで混雑していた。仲間の一人は、40歳を過ぎて独身。最近の悩みは「孤独死」だという。もう一人は、現在妊娠中で、43歳で生むため超高齢出産を心配している。週刊誌の見出しはあながちウソではなかったと実感。
 若い頃は排他的で窮屈な日本が嫌いだったが、あちこちで隙間が見えたせいか、以前より身近に感じた旅だった。【下井庸子】

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