和食をとりながらのディナーショースタイルの約3時間のステージで、生徒30人はこの1年の練習の成果を発揮した。日本語、英語、スペイン語で、演歌やポップスなど、新旧さまざまなジャンルの約50曲を披露。ソロにデュエット、合唱、ダンスを取り入れるなどスタイルに変化を持たせて、会場を沸かせた。参加者は、1960、70年代の懐かしい曲を久しぶりに聴き、往時を懐かしんで口ずさむ光景が見られた。
新原さんは、東京音楽大学で音楽理論を学んだ後、五木ひろしや八代亜紀など一流の歌手とステージをともにし、個性を生かすプロの感性の磨き方などを学び取った。実力でしか生き残れない歌謡界の厳しさを知るだけに、素人といえども生徒には厳しく指導し、歌を人に聴かせる意識を持たせている。
生徒の多くが10年以上習い、一定のテクニックを身に着けているという。だが、向上心にあふれ、難曲にも挑戦し続けている。平均して1回2時間のレッスンのために地元のみならず、遠路リバーサイドやサンバナディノ、サンタバーバラ、ウッドランドヒルズから片道1時間半から2時間運転しトーレンスの教室に通う。他州の人もおり、ミネソタ、ラスベガスからは、電話やスカイプ(無料のインターネット電話)を利用するほどだ。また、日本語が不得手の日系3世、4世も歌詞の意味を理解しながら難しい演歌にも立ち向かっている。
ショーでは、歌詞を間違えたり、音を外したり、タイミングがずれたりするなどのミスもあった。だが、新原さんは「まったく気にしていない。生徒たちは1人として、恐がらないで、素人らしく思い通りに伸び伸びと歌ってくれ、習う側の根性を感じた。よく頑張ってくれた」とたたえた。【永田潤、写真も】