今月初め、かつてデンバーで「ロッキー時報」を発行し今は日本在住の今田英一・順子夫妻から連絡を受け、第39回海外日系新聞放送大会にオブザーバーとして出席する機会を得た。
 会場は、大型客船を眼前に望むJICA(国際協力機構)横浜国際センター。海外日系人協会と海外日系新聞放送協会もこの中にある。汽車道を散策する人が多く、空と海の青さが混じり合うような秋晴れの横浜だった。
 海外での日本語新聞やラジオ放送の代表が年に一度日本に集い、情報や意見を交換するこの大会に、私が前回出席したのはふた昔ほど前のこと。日系紙の灯を消すまいと各地で奮闘中の人々と会うことが出来、多くを学ばせて貰った。
 残念ながらその後、北米では、ロッキー時報のほか、サンフランシスコの「北米毎日」「日米時事」2紙と「カナダ・タイムス」(トロント)が姿を消した。また、3紙が競合していたブラジルでは、生き残りを賭けて「パウリスタ」と「日伯毎日」が統合され、「ニッケイ新聞」となっている。
 久しぶりに覗いた大会では、それでも岡野護・海外日系人協会事務局長やハワイの「ラジオK-JAPAN」の富田幾子社長ら旧知の数人にお会いしたほか、「北米報知」(シアトル)の森口富雄社長の出席もあった。現在の会員名簿を見ると、北米・南米の加盟社の減少とは対照的に、アジア、オーストラリア、ヨーロッパの日本語メディアが数を増している。この数十年の間に新しく海外に出来た日本人コミュニティーの姿を映しているのだろう。
 来年、大会は第40回の節目を迎え、海外日系文芸祭もまた第10回となる。大会では、テーマ未定ながら、オンラインで共同編集企画をとの提案がされた。
 続いてフォーリン・プレスセンターの赤坂清隆理事長が『日本からもっと世界に向けた情報発信を』と題して講演。右肩下がりの日本の現状を解説の後、海外の日系報道機関には同センターのホームページ上の日本関連情報の活用を提言した。会場にはそのほか、戦前のフロリダ日系コミュニティーを調査中というジャーナリストらの姿もあり、興味深い一日となった。【楠瀬明子】

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