ウエブサイトを開けば日本のニュースに飢えることの無い時代だが、新聞とは違った視点でニュースを取り上げる週刊誌の特集物も面白い。ドル安の昨今、日本の週刊誌を定期購読するのは家計がゆるさないが、有難いことに、週刊誌を購読している知人から三、四週間遅れで回してもらえる恩恵に浴している。
もちろん私が読み終えれば、待ちかねている友人にまわす。書店にとっては営業妨害で迷惑にちがいない。
この週刊誌の特集で最近は、死ぬまで寝たきりにならない介護術とか寝たきりにならない夕食のレシピ特集、呆けないための食事や脳の訓練みたいな特集が目立つ。読者を確保するためにこういう特集を次々組むということは、今の日本人の関心が高いからだろう。もちろんこれらの記事を読んだから、あるいは実行したからといって、必ず効果があるとは限るまい。
しかし医療や科学の発達で長寿が更新されている今、同じ生きるなら呆けたくない、寝たきりになりたくないというのは万人の望むところ。私なども、未だ現役で働きつつ、すでに高齢者の範疇(はんちゅう)に確実に片足を突っ込んでいる。現に今年の夏はTGAなどという有難くない病名を宣告され、処方薬が一錠増えた。
「まだフルタイムで仕事をしているのですか? 若いですね」などと言われて有頂天になっていたら、人生の落とし穴は何処にあるかわからない。
「まだまだ出来る」は「そろそろ用心」と同じこと。白内障こそまだ患ってはいないが、老眼、肥満、物忘れ、単語やよく知っているつもりの人の名前が突然飛んでしまってどきっとすることもしばしば。確実に平均的なシニアである。
もし近いうちに引退することになれば、仕事をしていた一週間40時間(現在はしばしば60時間になることがある)をどう過ごすか、そろそろ真剣に考えねばならない。
呆けも寝たきりもできれば避けたい。友人に回す前に、もう一度あの週刊誌を読んだほうが…。【川口加代子】