同ホテルの総料理長を務めるのは、33歳の若さで抜擢されたジョナサン・ウッドさん。坂井さんとウッドさんがメニューを考案し、他の6人の腕利きとともに6品のコースを振る舞った。
同番組は「アイアンシェフ」として全米で放映されていただけに、坂井さんの知名度は抜群。同ディナーは対戦ではないが、会場では番組のテーマソングを流し厨房の様子を実況生中継したり、室内の照明を突然明るくしてサーブしたりするなど、テレビ番組さながらのさまざまな凝った演出で客を喜ばせた。
腕前を披露する鉄人の勇姿が、大きなスクリーンに映し出される度に歓声が沸き起こった。鉄人は料理の素材や作り方について説明し、客の質問にもていねいに答えた。メニューには神戸牛を竹の皮で包んでスモーク風に香り付けするなど和の要素も取り入れ、多くの舌の肥えた客を「おいしーい」と唸らせた。
カリスマシェフは「最後のデザートを出して、ホッとした。みなさんに喜んでいただいて、アメリカまで来た甲斐があった」と話した。イベント後は、写真撮影やサインのリクエストに気さくに応えるなどサービスに努めた。
アーバー会長は、同イベントについて「このディナーショーは、最も楽しく、記憶に残るエンターテインメントだったに違いない。参加者みんなが『一生涯に1度』の体験ができてよかった」と述べた。
全米日系人博物館を見学
収容体験など日系史学ぶ
坂井さんは6日には、全米日系人博物館に立ち寄り、第2次世界大戦時の強制収容など日系史を学んだ。博
見学後は、キムラ館長や博物館支援者らとハワイ風の料理を食べて交流を深めた。坂井さんは自分の店のロゴ入りのユニホームを館長にサインを入れてプレゼントし「料理を通して博物館と何かをやりたい。機会を作って呼んで下さい」とコラボレーションを希望した。支援を約束された館長は坂井さんの来館を光栄とし「サカイさんは、われわれの活動に理解を示してくれてとてもうれしい。何かイベントを企画して、手伝ってもらうことを楽しみにしている」と述べた。
今回の坂井さんの訪米は、日系など数社が支援し実現した。メインスポンサーのニットータイヤの水谷友重社長は、同社が米国で収めたビジネスの成功を「寛容な米国社会が、受け入れてくれてくれたから」と説明。日系社会については「繁栄の礎を築いた1世、2世を忘れるべきでない」と力を込め、これら先達の業績が同社の諸団体に対するさまざまな支援の動機となっていると話した。