加州のジェリー・ブラウン知事は10日、2013―14会計年度の予算案を発表した。昨年11月に行われた住民投票で可決された新増税により、19億ドルといわれた財政赤字を解消、黒字転換となり、今年度より5%増となる総額976億ドルの予算案となった。
知事が発表した予算案によると、小売り税と富裕層に対する所得税を引き上げ、教育関連に充てることを定めた「提案30」が住民投票で可決されたことにより、教育関係予算は大幅な資金増が含まれ、カリフォルニア大学機構とカリフォルニア州立大学機構への資金は、それぞれ2億5000万ドル増となる。
長年にわたり大幅な予算削減に直面していた大学側は、授業料の引き上げなどで補充せざるを得ない状況が続き、学生にそのしわ寄せがきていた。知事は今後、教育機関の首脳陣との会談を予定しており、これ以上授業料の引き上げを行わないよう強く要請するとした。さらに、幼稚園から12年生までのK12とコミュニティーカレッジには、27億ドルの追加資金が充てられる案も含まれた。
知事はまた、教育関連への資金充当に対する新たな方法の確立を提案した。同案は、もっとも資金を必要としている学区や学生に資金が割り当てられるよう、資金の使途決定を学校区側に任せるというもの。知事は、「カンプトンやリッチモンドで育つのは、ロスガトスやビバリーヒルズで育つのとは異なる。(自分の案には)賛否両論だと思うが、正しく公平なやり方だと思っている」と述べた。
この他、ヘルスケアやソーシャルサービスへの資金充当は、連邦政府のヘルスケア改革によってサービスの拡充を図るため、州規模では小幅な引き上げにとどまった。
今回の黒字転換は、経済の回復傾向が強まったことと、住民投票で新増税案が可決されたことによるもので、長年赤字解消に向け取り組んできた知事は、支出を最小限に抑え、将来のための積立資金を増やしたいとしている。知事が2年前に就任した際、加州の財政赤字は総額250億ドルに上っていた。
知事の予算案は今後議会で審議され、増税による歳入増の幅を見極めた上で修正が加えられ、5月に改正予算案が発表される予定。