巨人軍の監督と選手という子弟関係にあった長嶋茂雄、松井秀喜が国民栄誉賞を受賞することが先日、決まった。2人の同時受賞は前例がなく、有力各紙が号外を出すほどの吉報に日本が沸いた。
 数え切れないほど存在する賞のうち、有名なところで言えば、アカデミー賞、グラミー賞、芥川賞、直木賞、そして世界的に最も権威があるノーベル賞があるが、これらは学術や芸術など専門分野に限られている。一方の国民栄誉賞は、広く国民に愛された顕著な業績のあったものに授与されるため、日本人にとって親しみがあり、価値のある最高の賞であると疑いを持たない。賞の名称には、「国民」と「栄誉」が入っていて、響きがいい。
 長嶋が活躍した1960年代は、「巨人、大鵬、たまご焼き」と言われ、子どもたちの憧れの的だった。その中の大横綱の大鵬は、去る2月に国民栄誉賞を受賞した。しかし、長嶋と大きく違うのは死後であったため、受賞の知らせを聞くことはなかった。受賞者21人のうち11人が没後の受賞であるのは残念。「生きているうちに」という声が多い中で、長嶋は病気を患い、今後も表舞台には現れることはないと思われるだけに、往年のファンは本当に喜んでいることだろう。
 中には、辞退者も数人いる。大リーグで同シーズンに新人王とMVPを獲得したイチローもそうである。イチローは、若さと現役を理由にモチベーションが下がるとして固持。2度も打診を断ったそうで、頑固者のイチローらしい。
 日系社会では数多くの団体が功労者を顕彰しているが、イチローとは違う理由で受賞を遠慮する人がいる。高齢、受賞に値しない、恥ずかしい、お祝いのお返しがたいへん、などなど。だけど、受賞は団体を代表する意味もあり、周りの人や後進のやる気をかき立てるため、できるだけ受けてもらいたい。
 ロサンゼルスの日本人にはまた、松井以上に印象が強い野茂英雄の国民栄誉賞の受賞も待望していることだろう。商業的になり、少し難しいと思われるが、ウルトラマンや仮面ライダー、ドラえもんといった、アニメなどのヒーローにも与えればいいのではないかと思う。【永田 潤】

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