まずはこのリストをご覧下され。近年の話題作の上映時間だ。
 「華麗なるギャツビー(2013年版)」(2時間22分)「アイアンマン3」(2時間15分)「007 スカイフォール」(2時間23分)「リンカーン」(2時間30分)「レ・ミゼラブル(2012年版)」(2時間38分)「ゼロ・ダーク・サーティ」2時間37分「アバター」(2時間42分)「ジャンゴ 繋がれざる者」(2時間45分)。
 続いて70年代の作品だ。
 「燃えよドラゴン」(1時間38分)「フレンチ・コネクション」(1時間44分)「アニー・ホール」(1時間33分)「ダーティハリー」(1時間42分)「アメリカン・グラフィティ」(1時間50分)「激突」(1時間40分)。
 もちろん例外もあるが、傾向として明らかに上映時間が長くなっている。午後に映画を見て、劇場を出たら、外はもう真っ暗な時もある。
 ビジネス上、劇場側にとって長い映画は不利だ。例えば、1日通常5回の上映が、4回に限られ、動員数が減り、ポップコーンやジュースの売り上げも落ちる。
 では、なぜ長いのか? 理由を考えた。
 *観客の目が肥えてきて、奥深いストーリーとキャラクターをより深く描いた作品を望むようになった。
 *入場料や売店の飲食物が高くなった分、それに見合う、質の高い長めの作品でも観客は受け入れるようになった。
 *実績と発言力がある著名な監督が、好きな作品を作れるようになった。
 *スクリーンや音響設備も改善し、座席もすわり心地が良くなり、長くいても苦にならなくなった。
 *安く早いデジタルで撮影が可能になり、その結果、撮る量が極端に増え、編集した結果、長くなってしまった。
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 リストにあげた映画を長いとも短いとも、自分は感じたことがない。どれも緊迫したり感動したりの名作だからだ。
 ちなみに、エピックといわれる超大作の「風と共に去りぬ」は、3時間58分。「アラビアのロレンス」は、3時間36分だ。
 心に残る映画ならどんなに長くてもかまわない。【長土居政史】

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