現在は13品種、各10株ほど残っており、贈られた当時の原木が残っているのは「ピース」と「ルビー・リップス」の2品種。他と比べると幹が太く、年月の長さが伺える。
そのほか、エリザベス2世が即位した翌年の53年、即位を記念して作られ、女王の幼名が付けられた「リリベット」。香りの名品といわれる「レディーラック」。ミイラを作るときに使うハーブの香りによく似ていることから「ミイラの香り」とも称される「ムーンスプライト」。戦後初めて訪日公演をした米国人オペラ歌手ヘレン・トローベルにちなんで付けられた同名のバラなどがある。
トローベルはサンフランシスコ平和条約が発効した52年に訪日し、自身と同じ名前のこのバラが「日米親善の懸け橋になるように」と東京都千代田区の日比谷公園に自らこのバラを植えた。しかしあまりの美しさにすぐに全部盗まれてしまったというエピソードも残っている。
LA市から寄贈されたバラは今ではそのほとんどが2世だが、日米友好の証は世代を越えてこれからも受け継がれていくことだろう。 【吉田純子、写真も】

5200株のバラが咲き誇る神代植物公園のバラ園