人類を守るためのヒーロー役を演じた菊地凛子 (ワーナー・ブラザーズ提供)
 ハリウッドを中心に国際的に活躍する女優・菊地凜子が、ギレルモ・デル・トロ監督(代表作「パンズ・ラビリンス」)のSFアクション映画「パシフィック・リム」に出演した。人類を守るためのヒーローを演じた菊地に撮影時の苦労や同映画への思いを聞いた。
 舞台は未来の香港。「カイジュウ(怪獣)」と呼ばれる巨大生物の群れが海から突如出現した。この巨大なカイジュウに立ち向かうため、「イェーガー」と呼ばれる巨大ロボットが開発された。
 ロボットは、神経系統をつなぐ回路「ザ・ドリフト」によって意識が同期化された2人のパイロットによって同時に操縦される。人類を守るためヒーローたちがカイジュウに立ち向かうが、敵は攻撃のたびにその強さを増し、その残忍な攻撃にイェーガーも苦戦する。
 敗北の瀬戸際に立たされた時、最後の切り札として選ばれたのが、疲れ切った元パイロット(チャーリー・ハナム)とマコ・モリという戦闘経験のない訓練生(菊地)だった。2人がチームとなって操縦するのは、一見時代遅れなイェーガーだが、彼らは迫り来る終末から人類を救う最後の希望として、一体となって戦う。
 デル・トロ監督は、最初から菊地を選ぶことに決めていたという。「凜子はタフさと繊細さを併せ持っている。何よりもパイロットになることを夢見る少女マコの役柄には、この要素が不可欠だった」と振り返る。
 菊地が演じるマコはロボットを操縦するパイロットとあって体作りが要求された。他のパイロット役の俳優とともに、ウエイトリフティングやビーチでのブートキャンプ、ランニングのほか、油物や炭水化物抜きという食事制限も行った。「決まったメニューで週5日間、ジムとビーチを往復する生活を送り、体重も付けながら体を大きくしていきました」
 そして何より大変だったのが、ロボットを操縦するシーン。「アームスーツがとても重くてまるで両手両足に鉄アレーが装着されているよう。その中でパンチを繰り返すので、トレーニングの時より撮影時の方が体力が付いていったほど」と振り返る。
 今回の映画では台詞はほとんど英語。覚えるのはもちろん大変だったというが、何よりマコという役が自分に合っていたという。「マコもひとりでアメリカに行き、パイロットを目指して奮闘し、意志が強い。そんな彼女の姿勢に共感した。チャレンジが好きなところも共通するところ。この役だったからこそ現場を乗り切れたと思う」
 同作はウルトラマンやゴジラなど、日本の怪獣映画を彷彿とさせるが、菊地自身も小さい頃から怪獣映画は好きだったという。ただ「この作品はただの怪獣映画ではない」と強調する。「ロボットと怪獣が戦うのは同作が初めて。またパイロットがロボットを操縦する際、過去の記憶をシンクロさせ、家族との愛やトラウマを乗り越えるシーンがあるなど、人間ドラマが描かれ飽きさせない映画だと思う」と自信をみせる。
 ずっとスーパーヒーローを演じてみたかったという菊地。英語を使って国際的に活躍する中で当然苦労はあるが、その壁を乗り越えることにやりがいを感じている。「日本の作品にも出演したいが、あまり国にはこだわっていない。国際的に活動する方が大変なので、その方が面白いと思える。これからも今までやったことのない役に挑戦していきたい」と熱い思いを語った。
 「パシフィック・リム」は12日から、通常映画館とIMAXシアターで2D版と3D版が限定ロードショー公開される。  【吉田純子】
「カイジュウ」に立ち向かう巨大ロボット「イェーガー」 (ワーナー・ブラザーズ提供)

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1 Comment

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  1. How can I read Japanese stories in English? We just saw this film last night. It was great!