米国人学生の食生活を垣間見ると、驚くことが多々ある。例えば、「昨日は珍しく料理したよ」と得意げに話すので何を作ったか聞いてみると、チーズの粉末を混ぜれば完成する「マカロニ・アンド・チーズ」だったり、温めるだけの冷凍食品だったり。これらを「調理した」と思いこんでいるのには度肝を抜かされる。
 年齢を重ねるごとに食生活に気を使うのは自然の成り行きだが、大学生くらいではまだまだ健康に気を使う必要性は感じないのだろう。早く簡単に食べられる食事の方が魅力的のようだ。
 しかし近年、米国では大学生だけでなく、小、中、高校生の間でも不健康な食生活が問題になり、大統領夫人までもが子どもの食生活の改善対策に乗り出している。以前は学校給食で出されていたフライドチキンやピザは姿を消し、新鮮な野菜や果物を取り入れたバランスの良い献立に改善された。
 全米で2番目の規模を誇るロサンゼルス統一学校区(LAUSD)でも、生徒の健康的な食生活の促進のため、さまざまな取り組みが行われている。そのひとつが生徒たちが考案したヘルシーメニューだ。
 同学校区で提供されている給食は人工調味料や着色料、トランス脂肪酸は一切使用せず、塩分と砂糖もUSDAで定められている基準に沿って作られている。数グループに分かれた生徒たちはこのガイドラインに基づきメニューを考え、選考を経て選ばれたグループの料理が献立に採用されるというもの。
 生徒たちが考えたメニューは実に本格的。色とりどりの野菜を取り入れたサラダに、オレンジゼストやハーブなどを使ったドレッシングなど、プロ顔負けの創作料理で、10代の学生がつくったとは思えないほどの出来栄えだ。
 材料から調理方法まですべて自分たちで考えて作ることで、より一層健康への意識も高まり、非常に有意義なアイデアだと感心した。大学生や大人がマカロニ・アンド・チーズを料理と言っている場合ではなくなってきている。【吉田純子】

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