フォー・コーナーズの後、西に進むにつれて景色は赤やオレンジの岩山が多くなってくる。途中USルート163の道中にあるグースネック州立公園とメキシカンハットを訪れた。グースネック州立公園はユタ州が管轄しているので、政府機関が閉鎖中でも入ることができる。
グースネックはパゴサ・スプリングスにも流れていたサンファン川が長い年月をかけて浸食し、3連に大蛇行している。展望台の下は1000フィート(約300メートル)の断崖絶壁。フェンスは一部にしかないため写真を撮る時は注意が必要だ。その名の通り、角度を変えるとガチョウの首に見えなくもない。大自然が生みだした迫力ある景色は一見の価値がある。
モニュメント・バレーまで進むとその先の町カイエンタまでガソリンスタンドがないので、メキシカンハットの町では必ずガソリンの給油を行おう。
メキシカンハットからUSルート163を南下すると、一直線に伸びる道の先にモニュメント・バレーのメサ(水平に堆積した地層に、極端な侵食が行われテーブル形状になった大きな岩)とビュート(メサの侵食が進み、台地面の直径が高さよりも小さくなった岩)が立ちはだかる。どこかで見覚えのある景色と思ったら、映画「フォレスト・ガンプ」で主人公のフォレストが突然走るのを止めるシーンだ。実際に撮影はこの場所で行われた。
さらに南下するとモニュメント・バレー・ナバホ・トライバル公園の入り口にたどり着く。公園はネイティブ・アメリカンのナバホ族が管理、運営している。ナバホ族の総人口は約30万人で米最大規模の部族だ。
この地域はナバホ・ネイションと呼ばれ、ナバホ族の居留地になっている。米国政府からは独立した国家として成り立っており、独自の法律や行政、学校や警察がある。そのため米政府機関閉鎖の時もまったく影響を受けない。現在も公園内には12家族が生活している。
ナバホ・ネイションでは飲酒が禁止されているため、ホテルでもアルコール類は一切販売していない。
翌日はモニュメント・バレーの名所をジープで回るツアーに参加した。5時間のコース(1人130ドル)に申し込み、観光客でも車で入ることができるモニュメント・バレーと、その反対側にあるナバホ族の人しか入ることができないミステリー・バレーの両方を観光した。
ミステリー・バレーの道は舗装されておらず、まるでローラーコースターに乗っているかのようにジープは揺れる。このエリアには昔のナバホ族が住んでいた遺跡や壁画、自然が作り出した大きなアーチも残っている。ナバホ族のガイドは時折、古くから部族に伝わる歌を太鼓演奏とともに披露してくれた。
モニュメント・バレーでは人間の顔や動物の形に見えるメサのほか、ジョン・フォード監督がジョン・ウェイン主演で撮った映画「駅馬車」や「捜索者」のロケ地も見てまわった。
旅の最終日は一路ソルトレイク・シティーへ。しかしここで朗報が。閉鎖中だった国立公園だが、連邦政府に代わりユタ州が運営費を負担して同州内にある国立公園が再開したというのだ。そこで帰りにモアブにあるキャニオンランズ国立公園に立ち寄り、グランドキャニオンを超えると称される絶景を堪能し、後ろ髪を引かれつつグランドサークルを後にした。(おわり)【吉田純子、写真も】