日本政府が進めていたユネスコの無形文化遺産に和食が、登録される見通しとなった。日本を離れたわれわれが、移り住むアメリカでも毎日食べられていて、うれしい。2020年の東京五輪開催決定に次ぎ日本にとって明るい話題で、12月の正式決定が待ち切れない。
訪日する外国人観光客の一番の楽しみが食事だという。統計によると、名所巡りやショッピングを抜き6割を超えダントツの1位。こう答えるのは、自国で食べた味を本場で食べてみたいと思うからで、和食の世界的な人気の高まりを物語っている。地道な努力で和食文化を広めた人たちに敬意を表し、今後もさらに頑張ってもらいたい。
ここアメリカの和食事情は、30、40年ほど前にブームが起こったらしい。すしや刺身、懐石、しゃぶしゃぶなど高級料理だったため、庶民には手の届かない存在だった。だが、ラーメンやそば、うどん、たこ焼き、カレーライスなど日常食が手に入るようになり、和食はもはやお金持ちや美食家、親日家だけの食べ物ではなくなった。
15年ほど前にすし屋のウエイターをしていた私に「フォークよりも箸で摘んで食べた方が、おいしい」と言ってくれた常連客がいた。うれしかった。もっと和食ファンが増えればいいと願ったが、この一般食を軸にした第2次和食ブームで、エスニック食のトップの地位を不動にしたいところだ。芋煮、きりたんぽ、沖縄のサーターアンダギーなどを地方出身者が紹介していて、郷土料理に絞った物産展などに力を入れれば、さらなる浸透に貢献することだろう。
色とりどりの四季に合わせた山海の旬の食材、そして芸術的な美しい盛り付けと、その器。おいしさに加え、目でも楽しませてくれる。地酒・焼酎と合わせて楽しむこともでき、締めのデザートは饅頭、ようかんなどと申し分ない。栄養・健康面では、世界各国の医師が推奨し、折り紙付き。みなさんには「長寿世界一の国民が食べている」と、言ってもらいたい。
先の東京五輪誘致のプレゼンテーションで「おもてなし」を紹介し、好印象を与えた。メニューが幅広い和食は、接待にもいいし、誕生日、結婚記念日、何にでも合う。もっと広めよう。【永田潤】