10月1日に始まった17年ぶりの米政府機関の一部閉鎖という異常事態は、2014会計年度暫定予算の成立を受けて17日に再開された。約80万人の一時帰休者が復帰し、国立公園や博物館も観光客の受け入れを始めた。
14年度予算審議をめぐっては、下院で過半数を占める共和党が医療オバマケアの見直しを要求し、上院多数派の民主党はこれに反対。両党は激しく対立したまま物別れに終わった。政府業務が止まるということは、安全や緊急事態への対策が停止または遅れ、民間企業が事業に必要な許認可、助成金、貸し付けが滞り、統計・見通しも公表されず、福祉サービスも実施されないということである。
この騒動によって、ホリデーシーズンを前に多くの人が再開が決まるまで、眠れない日々を過ごしたことだろう。茶会メンバーは来年の中間選挙を前に存在感を増しているが、共和党に対する世論の目はかつてないほどに厳しい。世論調査によると、同党の支持率はわずか17%だ。
民主党が特別に優れているとは思わないが、時代は大きく変わっている。一番の特徴はオバマ大統領の2期当選だ。今や共和党は国民をないがしろにしている、と指摘されてもしょうがないのではないか。
オバマ大統領の肝いりで始まったオバマケアが、開始以降ウエブサイトに接続できなかったり、契約が完了できないなど混乱を極めている。この不具合を格好の材料とばかりに共和党は攻撃している。
アメリカの健康保険は非常に複雑で、分かり難い。加えて保険料は毎年上昇し、負担できない世帯も多い。ひとたび病気や怪我をすれば多額の保険料の支払いが生じる。人生を立て直すのが非常に困難になる。移民問題同様、どこかで手をつけなければ破綻は間違いない。一方でオバマケアによって余計な保険料を払う人もいるだろうが全国民が同時に満足する政策などない。この正念場をなんとか両党、国民のために知恵を出し合って乗り切ってほしい。【下井庸子】