先日、本棚の整理をしていたら、ロイヤル・バレエ団の「シンデレラ(プロコフィエフ作曲)=1969年」がでてきた。踊りもオーケストラも久しぶりに堪能した。ディズニーのも好きだけど、やはりひと味違う。
 プリマのアントワネット・シブリーは女優のミシェル・ファイファーにちょっと似た美人。ステップシスターズは男性が女装してコミカルに演じているが、どちらも60歳過ぎの有名なダンサーでありコリオグラファー。ロイヤル・バレエの他の「シンデレラ」のポスターにも、女装の男性の写真が載っているから、役柄などはそういう約束事なのだろう。プロコフィエフの弾むようなコミカルな曲はこんなステップシスターズにぴったり。
 さてこのシブリーさん、とにかく足首が強そうだ。トウで立ってもブレないし、動きがなめらかでとにかく軽い。ホウキを王子に見立てて踊るところなんか、しぐさが可愛くてとても30歳とは思えない。やっぱりプロは違うと変なところで感心する。ちなみに、フレッド・アステアも「Royal Wedding」で帽子掛けなどを使って流麗に踊っていたなあ。
 シンデレラがお城に到着して階段を下り、トウで舞台中央に出てくるところは好きなシーンのひとつ。足と足首のわずかなひねりで、舞台上をまるで流れるかのよう動く。そういった動きの一つひとつにも名称がついているのだろうが、さすが説明などは出てこない。ま、素人は知らなくてもいいか。
 プロコフィエフのバレエ曲には他に「ロミオとジュリエット」がある。手元にはアメリカン・バレエ団のDVDもあり、これはカミさんと娘のお気に入り。
 長く演じられているこのような舞台は、曲とカリオグラフィーと踊り手たちの技が混じり合って素晴らしい。
 最近はオペラと同じで、現代風というか背景が省略されていて昔ながらの重厚な舞台が減ってきている中、この舞台もだいぶ簡略されてはいるがまだ大丈夫かな。
 そのうちまた中古レコード店に行って他のDVDなどを漁(あさ)ってみよう。思いがけないものが手に入るかもしれない。【徳永憲治】

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