第48回スーパーボウルは、シアトル・シーホークスがデンバー・ブロンコスを43対8で破って、文字通りシアトル中が沸いた。
 シーズン初めに息子が「今年は、優等生タイプのラッセル・ウイルソンと暴れん坊タイプのマーショーン・リンチという、対照的な二人のスター・プレーヤーが揃っていて、絶対面白い」と言ったとき、ルールさえよく分かってない私は「フーン」と返したものだ。
 ところが、シーズンが進むにつれ周囲の熱気は高まるばかり。市内外のあちこちには、熱烈サポーターを意味する「12」の旗と「ゴー・ホークス」のサイン。近所のスーパーマーケットは、試合日にホークスのジャージー着用の買い物客には10パーセント引きのサービスも打ち出した。ついに地元シアトルでのプレーオフを迎える頃には、私でさえテレビの前で観戦。タッチダウンに、フィールドゴールにと、歓声や悲鳴を上げるようになった。
 シアトルはこれまで、プロスポーツのチャンピオンに縁が薄かった。全米チャンピオンになったのは、1989年のバスケットボール・チーム「スーパーソニックス」のみ。そのソニックスも今はシアトルを離れてしまっただけに、シーホークスの2006年以来2度目のスーパーボウル挑戦には、フットボール・ファンだけでなく、全スポーツ・ファン、いや全住民の願いがかかっていた。
 ペイトン・マニングという超ベテラン・クオーターバックを擁するブロンコス。対するシーホークスは平均年齢26歳という若さで、司令塔の役目はプロ2年目のウイルソンが担い、体を張ったディフェンス陣がチームの売りだった。
 それだけに、僅差でいいから勝ってほしいと願った勝利が思わぬ大差で実現すると、喜びは大爆発。3日後の市内パレードには、警察発表で70万人ものファンが通りを埋め尽くした。
 70万なんてと、カリフォルニアの読者には思われるかも知れない。が、シアトルは人口60万強、周囲と併せても150万の都市圏なのだから、ご理解を。全米覇者の誕生で今後は、「シアトルってどこにあるの?」という質問が少なくなるかもと期待している。【楠瀬明子】

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