ドジャース展を開催初日に訪れたピーター・オマリー氏
ドジャース展を開催初日に訪れたピーター・オマリー氏
 大リーグ初の黒人選手をデビューさせ、また日本など海外遠征を実施し野球の国際化に貢献したドジャースの偉業を紹介する展示が、全米日系人博物館(JANM、グレッグ・キムラ館長)で開催されている。展示は、ワールドシリーズ6度の優勝を誇るフィールドでの活躍のみならず、ドジャースが果たした公民権の向上や地域貢献など社会的役割に焦点を当てている。
野茂英雄元投手など、球史に名を刻んだ選手が紹介されているドジャース展
野茂英雄元投手など、球史に名を刻んだ選手が紹介されているドジャース展
 展示では、人種の壁を破った初の黒人選手ジャッキー・ロビンソンやメキシコ出身のフェルナンド・バレンゼイラ、プロ野球を経て入団した初の日本人大リーガー野茂英雄、韓国人初の大リーガー、朴賛浩、殿堂入りしたトミー・ラソーダの球史に名を刻んだ各人の功績が紹介され、縁の品々が飾られている。球団史を時代毎に紹介していて、球団を親子2代にわたり所有し、少数民族や外国人選手に門戸を開き、メジャーで平等にプレーする機会を作ったオマリー家の遺産が披露されている。
 展示開催初日のレセプションには、ドジャースから元オーナーのピーター・オマリー氏(現パドレスオーナー)をはじめ、ラソーダ氏、1970年代に日本遠征を経験した元選手などが出席し、展示に花を添えた。
 キムラ館長があいさつに立ち、同館の役割について、常設展示する強制収容など日系人への偏見と苦難への戦いを伝えていると説明。ケン・モチヅキ氏の著書から、元収容所生活者の「野球が、われわれを救ってくれた」の名言を引用し、ドジャース展開催の意義を強調した。「野球は、肌の色、出生地など経歴に関係なく平等の条件でプレーすることができる」と強調。「ドジャースは、他に先駆けて選手にそのようなフェアプレーができるチャンスを提供し続けている」とたたえた。
あいさつで「すばらしい展示」と称賛するトミー・ラソーダ氏
あいさつで「すばらしい展示」と称賛するトミー・ラソーダ氏
 オマリー氏は、親善試合のために1956年に初訪日したといい「熱烈な歓迎を受け、選手たちが日米親善に貢献できた。ロビンソン選手は遠征後に引退したため、ドジャースのユニホームを着て最後にプレーしたのが日本だった」と紹介した。「今夜は、当時の選手や日本遠征を懐かしむことができた。すばらしい展示で、うれしく感謝している」と喜んだ。
 ラソーダ氏は、野茂がデビューした時の監督として日本でも知られ、展示を見て「すばらしい。日本遠征の思い出が甦る。(当時のオーナーの)ウォルター・オマリーさんから東京ジャイアンツと試合をすると言われたのを思い出した」と振り返った。「オマリーさんが日米の懸け橋となり、2国の友好関係を築いてくれ、息子(ピーターさん)がそれを引き継いでくれた」と、絶讃した。
 野茂元投手は、日本人大リーガーの先駆者として疑う余地はないが、それ以前にドジャースのスタッフとしてウォルター・オマリー氏を頼って単身、日本から海を渡ったアイク・生原氏の遺影が功績の紹介とともに飾られている。同氏は、巨人と中日のフロリダキャンプや日本からの野球留学生を世話するなどしたことが認められ、
亡き父の功績をたたえられ、感激の生原氏の娘スーザンさん(左)。右は、スーザンさんの夫で元ドジャース・アジア部門部長のエーシー・コオロギさん
亡き父の功績をたたえられ、感激の生原氏の娘スーザンさん(左)。右は、スーザンさんの夫で元ドジャース・アジア部門部長のエーシー・コオロギさん
日本の野球殿堂入りを果たしている。生原氏の娘スーザン・コオロギさんは、展示について「父がドジャースのファミリーの一員であることがあらためて分かった」と、感慨深げに話した。生前の父親について「野球とドジャースのことばかり考え、仕事が忙しくあまり家にはいなかった」と振り返った。生原氏は、オマリー家の墓地に眠っており、日本人選手の墓参は絶えないという。
 同展示は9月14日まで開催される。開館時間は、火曜から日曜が午前11時から午後5時まで、木曜は正午から午後8時。月曜が休館。入館料は、大人9ドル、シニアと学生、18歳以下の子どもが5ドル、6歳以下は無料。毎月第3木曜と、毎週木曜の午後5時から8時までは無料。
 詳細は電話213・625・0414。
 ホームページ―
 www.janm.org
【永田潤、写真も】
野茂氏のドジャース時代の数々のグッズが展示されている
野茂氏のドジャース時代の数々のグッズが展示されている

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