5月の第2日曜日は、日ごろの母の苦労をいたわり、母への感謝を表す「母の日」。
 たった1日だけ「ありがとう」と言われても、と戸惑う母も多いでしょうが、母の偉大さ、素晴らしさは、誰だって文句のつけようがありません。
 母親が健在の人ならば、感謝の気持ちとしてカーネーションやバラなどの花束、気の利いたプレゼント、お小遣い、レストランでの食事、部屋の掃除、料理作りなど母が喜ぶことをしてあげる…エトセトラと、そろそろ「母の日」の過ごし方に知恵を絞っているころでしょうか。
 自分が母親の立場にある人なら、子どもに「どうしてほしい、何をもらったらうれしい」と率直に伝えるのも、いいかもしれません。
 詩人・三好達治は、『海よ、僕らの使ふ文字では、お前の中に母がいる。そして母よ、仏蘭西人の言葉では、あなたの中に海がある』とうたっています。
 よく知られた話ですが、日本語では海の(文字の)中に母があり、逆にフランス語は母(la mere)の中に海(la mer)があるという妙味に三好は着目しています。
 このほかにも、「母なる海」という表現もありますし、海はすべての生命の源(みなもと)だったことから、日本語もフランス語も同じような発想で海と母を結びつけ、文字を考えたのかもしれません。また、「うみ」は「産む」に通じているのも意味がありそうです。
 さらに復習すると、「母」という漢字の成り立ちは「女」という文字に、乳房を表す2つの点(ヽ)を加えた象形文字(物の形を、点や線で表してできた文字)であることを小学校で習います。
 母の胎内でおよそ40週間過ごし、生まれてからはその乳房で大きく育つ赤ちゃん。ですから、子どもは無条件で母が大好きです。思春期になり、ちょっと嫌いになることがあったとしても、大人になるとやっぱり母が好きだと気づくのです。
 さて、タックスリターンも終わったこの際、マザコンとは別次元で童心にリターンし、母に甘えてみるのも、意表をつく「母の日」プレゼント? 母親からみれば、子どもは幾つになっても子どもに過ぎないのですから…。【石原 嵩】

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