緑の多いシアトル地域は嵐に見舞われると停電が起きやすく、Wi-Fi利用可能なコーヒーショップは、ラップトップ等を抱えて停電地区から避難して来る人で賑わう。私も一杯のコーヒーで座り込み、急ぎの原稿を書き送るなどしたものだ。
ところが近頃、これとは全く違う、日本の「インターネットカフェ」を体験することになった。これまで「容疑者はインターネットカフェに潜伏し…」などの記事を見てもおぼろげに想像するしかなかった場所だが、出先でどうしてもインターネットアクセスが必要となり、甥に案内を頼んだのだ。
「漫画・インターネットカフェ」と看板の出た店に一歩入ると、壁面の書棚いっぱいの漫画本と、コンピュータを一台ずつ置いた多数の間仕切りが目に入る。1時間ほどコンピュータを利用したいと受付で告げると、番号を指定され、幅3フィートくらいの間仕切りの中でコンピュータを自由に使える仕組み。料金は後払いで、1時間なら440円。3時間料金、6時間料金なども掲示されている。
簡易ドアのついた間仕切りの中では、椅子と足置きを利用して体を休めることも出来る。コーヒーやジュース、スープなどは無料で、食事も低価格で注文可能。カウンターには食パン耳の揚げものに砂糖をまぶして山と積み上げ「ご自由に」と添え書きがあるから、時間に応じた料金さえ払えば、餓えも渇きもせずに時を過ごすことが出来る空間のようなのだ。
周りを見ると、若者だけでなく中高年者もいるが、ほとんどが男性。そのためだろう、義妹は「私には、ちょっと入りにくい雰囲気」と言う。
体験ついでにと、「インターネットカフェ」に続いて「金券ショップ」も覗いてみた。新幹線乗車券やテレホンカード、商品券、図書券、ギフト券など、あらゆるカードが額面より数パーセント安く売られている。航空会社の株主優待券が販売されているのは、これを使えば航空券を半額で購入できるからだという。
そうか、これまでニュースに登場し、時には街角に看板も見ていたのはこういう店だったんだと、初めて分かった思い。知っていれば、いつか役に立つこともありそうだ。【楠瀬明子】