カレンダーを見ると、今日23日は「First Day of Autumn」となっている。日本でいう「秋分の日」。お彼岸の中日でもあり、「祖先を敬い、亡くなった人々をしのぶ日」とされ、国民の祝日。
また、「昼と夜の長さが同じになる日」と一般にいわれているが、日の出は午前6時42分、日の入りは午後6時47分だから、正確には昼の方が少しだけ長い。さらに昔から、「暑さ寒さも彼岸まで」とも言う。厳しい残暑や寒さにもメドがつくころ。
しかしながら、日本ほど四季がはっきりしていない南カリフォルニアでは、暑さ寒さは彼岸とは無関係。先週襲ってきた熱波は車の屋根で目玉焼きができるほど強烈で、体感気温で華氏104度(セ氏40度)を超えたところが多い。南加各地では、ロサンゼルス・カウンティーフェア(今年は8月29日~9月28日)が終わるころまで暑さは続くとされているのも、妙に合点がいく。
一方で、大気が極度に乾燥しているから、山林地帯の火事も多い。落雷などの自然発生的な山火事のほか、愉快犯や精神障害者による放火もあったりで、油断ならない。北加の山火事はまだ燃え続けている。
乾燥気候の弊害はまだある。日本から持参した万年筆3本が、どれも使い物にならない。インクが蒸発してしまうのだ。高価なパーカー、モンブランよりも、一本1ドルほどのボールペンのほうがはるかに役立っている。
レストランでは、テーブルに置かれた醤油の水分が飛んでしまっていて、やけに濃い醤油を平気で客に出しているところが多い。家庭でも、大きな醤油ボトルを買おうものなら、使い切るまでにかなり濃い醤油に変質。もともとの味も、香りも、色も変化し、本来の醤油が持つ芳醇さとは無縁の調味料になってしまっていることが多いのだ。完全に密封できる容器の開発が待たれる。
そうした中でも、季節は少しずつ移ろいをみせる。目にはさやかに見えねども…、夕方にもなればさわやかな風の音に驚かされることもあったりして、秋がすぐそばまできている気配は感じとれる。
夏の疲れが残るこの時分、日常生活に密接している「秋分の日」がアメリカでも祭日になったなら、もっとうれしいのに…?【石原 嵩】