シカゴでは春の予備選挙も雪を踏んで投票所に向かうことが多いが、秋の中間選挙や大統領選挙の季節も寒さが厳しくなる。
 オバマ大統領の任期が2016年で切れるところから、候補者が誰であろうと民主党と共和党の勢力争いが色濃く出ており金力に物を言わせたキャンペーン・コマーシャルも対抗馬を引きずり落とすことに終始しており辟易する。
 候補者が公約らしいことを述べれば「減税します。教育予算は削りません、医療サービスは充実します」
 普通の市民の家庭では、収入が減れば暮らしを切り詰めて帳尻を合わせるのだが政治家とは器用なことをするものだと、選挙のたびに思う。
 嘘丸出しの選挙公約を信じているわけでもないのに、帰化市民である自分に与えられた選挙権は同時に義務であると信じ、棄権だけはするべきではないという信念(?)のもとに、毎回真面目に投票所に出かけ、ほかに選択肢がなく、仕方なくどちらかに投票してまた4年間辛抱を強いられているのが現実だが…。
 先日テレビで、政治評論家に選挙の見通しなどをインタビューしていたが「今回A候補が黒人票を大幅に獲得したら共和党の勝利だと思いますか?」
「B候補がヒスパニック票を奪えばどうなるでしょう」
「都市部から離れた地域の白人の女性票はどちらに流れるでしょうか」
 アナウンサーが繰り出す質問の中に、最後までアジア系市民票がどんな影響を与えるかという質問は出なかった。
 日系人口の比較的多いロサンゼルスなどではまた様子は違うだろうが、シカゴなど日系はもちろんアジア系が束になってかかっても相手にもしてもらえない。
 影響力がないのである。
 今回の選挙に臨んで日系市民協会をはじめ、アジア系の市民団体が選挙登録を呼びかけてキャンペーンを繰り広げてきた。
 自分ひとりが投票してもしなくても、世の中何とか回ってゆく…などとさめたことを言っていると、したたかな政治家どもに舐められる。
 真面目に税金を払うだけでなく、せっかくの権利もしっかり行使するべきです。とにかく民主主義を支配するのは「数」ですから。【川口加代子】

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