9日付の英語紙面に、「12歳の日系少年が自殺―男性チアリーダーであることでいじめを受ける」との記事が掲載された。12歳とは思えないほどの初々しい彼の笑顔を見て、「たった12年間しか人生を送っていないのに、これから多くの経験ができたのに…」と、心がひどく痛んだ。
 サクラメントビー紙によると、彼はアートやファッションに興味があり、創造的で芸術的センスに優れた少年だったという。学校では、自分を自由に表現できるチアリーディングに生きがいを感じ、男性チアリーダーであることを誇りに思っていた。
 しかし、彼のパッションを理解できない一部の人たちから執拗ないじめに遭い、彼はチアリーディングを諦めざるを得なかっただけでなく、自らの命を絶ってしまった。
 両親はありのままのわが子を受け入れ、いじめ問題に関して学校側と何度も話し合いを繰り返した。彼が平穏に学校生活を送れる環境を探し求め、転校させるという対策を講じたにもかかわらず、いじめはなくならず、最終的にはホームスクーリングに切り替えるまで至ったという。
 米疾病対策予防センター(CDC)の統計によると、10歳から24歳の若者による自殺は、年間約4600件発生しており、若者の死因の第3位。自殺者のうち81%が男性で、性的少数者(LGBT)の自殺率は約4倍にもなるという。
 彼が在籍していたチアリーディングの代表は、両親を支援するためのファンドレイジングを立ち上げた。13日間で438人が寄付し、現在約1万9千ドルが集まっている。
 どんなに悔やんでも、どんなに金銭的な支援があっても、この少年が戻ってくることはない。彼の早すぎる死を無駄にしないためにも、違いを受け入れ個性を尊重する大切さ、そして差別やいじめの残酷さを、一人でも多くの人とあらためて話し合ってほしい。
 ローニン・シミズくんの両親を支援するホームページは―
www.gofundme.com/ronin-shimizu
【中村良子】

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