ロサンゼルスとサンフランシスコ間およそ520マイルを約3時間で結ぶ、加州高速鉄道のイメージ図
ロサンゼルスとサンフランシスコ間およそ520マイルをおよそ3時間で結ぶ、加州高速鉄道のイメージ図
 カリフォルニア州セントラルバレーの都市フレズノで6日、ロサンゼルスとサンフランシスコ間およそ520マイル(約840キロ)を時速220マイル(約354キロ)、約3時間で結ぶ加州高速鉄道の起工式が行われた。予算などさまざまな問題に直面してきた同計画だったが、ついに米国初となる高速鉄道計画がスタートをきった。

 同計画は総工費680億ドル(約8兆1600億円)を投じて行われる加州の一大事業。これまでのところ同州は事業費として260億ドル(約3兆830億円)を調達している。最初の着工区間はフレズノとマデラ間の30マイル(約47キロ)で、全線開通は2029年を目指している。
 車両などはまだ決定しておらず、各社受注競争が本格化してきている。日本の「新幹線」もそのひとつ。フランスの「TGV」をはじめドイツ、中国、韓国など世界各国が受注を目指している。
 特に加州には、北部から南部にかけて約800マイル(約1300キロ)のびるサンアンドレアス断層があり、地震多発地帯だ。そうしたことから、高速鉄道計画においても、万が一の地震対策が重要な課題となってくる。
 加州同様、地震多発国である日本は、新幹線においても地震に対応した技術があり、その技術力が大きな強みとなっている。
 同計画にはばく大な予算がかかることから、当初から反対の声が相次いでいた。加州共和党議員からは、計画が実行されれば、州の財源が少なくなるだけでなく、農業地帯であるセントラルバレーの農家たちにとっても、鉄道開通に伴い農地に悪影響がおよぼされるのではと懸念の声が上がっていた。
 一方、加州のジェリー・ブラウン知事は、2030年までの15年間で電力の50パーセントを再生可能エネルギーにする同氏の公約を果たすためには必要不可欠の計画であると強調していた。
 加州高速鉄道局(CHSRA)によると、道路の交通渋滞などが原因で加州が負っている経済損失は年間約187億ドル(約2兆2千億円)。しかし同計画が実現することにより、その建設で年間2万人の雇用が創出されると予想されている。

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