小学生を対象に日本で行われている「しきなみ子供短歌コンクール」(倫理研究所主催、文部科学省後援)で今年、日本語学園協同システム・バレー学園4年生の児童2人が入選、1人が佳作に選ばれる快挙を成し遂げた。
同コンクールは、短歌づくりを通じて子どもたちの国語力を養い、豊かな人間性を育成することを目的に、倫理研究所が2006年から毎年行っている。第10回を迎えた今年は、約6万2千首の応募の中から、「しきなみ子供短歌賞・文部科学大臣賞」3人、「特選」30人、「入選」295人、「佳作」567人がそれぞれ選ばれた。
海外から入選という快挙を成し遂げたのは、バレー学園4年のフィシュマン・葉月・カリーナさんと門永・トロイ・賢士さんの2人で、佳作には松浦裕さんが選ばれた。3人は、家族と訪れた旅行先での思い出深い体験をそれぞれ31文字に込めた。
3年前から授業に短歌を取り入れている同学園の摺木洋子先生は、しきなみ短歌を25年間勉強している。今年は3、4年生の児童9人が応募し、うち3人が選ばれた。選者は応募地を隠して審査するため、「アメリカで日本語を勉強する子どもたちが日本在住の子どもたちと同じ土俵に立てたのは素晴らしい」と教え子の快挙を称賛した。
摺木さんは、児童に短歌を書かせる前にまず歌にしたい体験を絵に描いてもらう指導をしている。こうすることで、児童自身が視覚的にその日の出来事を理解できるだけでなく、教師である摺木さんも児童の経験を分かち合うことができる。描き上がった絵を眺めながら、「この時どんな気持ちだったの?」「何が一番印象的だった?」などと質問することで、児童が自分の気持ちを文字に表す手助けをしているという。「勉強したことを発表できる場があること、また賞をもらうということは子どもたちにとって大きな自信につながり、将来困難にぶち当った時にこれら経験が励みになる」として、今後もコンクールへの応募を続けたいと話した。
日本では、2011年度から小学校の国語の題材として短歌が学習指導要領に盛り込まれたのを受け、小学生の短歌づくりが盛んになっている。摺木さんは、「短歌という素晴らしい日本の伝統文化を通じ、国語力だけでなく、自身のルーツを学び、大和魂を持ってアメリカの社会で力強く生きてもらいたい」と、児童に期待を寄せている。
【中村良子】
▽入選
日がしずむさんばしの上とびこんだ海も私もまっかになった(フィシュマンさん)
セコイヤで二千五百年の赤松を見たときぼくはこびとになった(門永さん)
▽佳作
夏休みルイジアナで川下りワニがいっぱい泳いでいたよ(松浦さん)