昨年就任した飯盛会長は、この日のために日米各地から集まった来賓、メンバーらに感謝の言葉を表すとともに、同会のための長年尽力してきた先人たちをたたえ、今後さらに同会を活気溢れる会にしたいと目標を語った。さらに同会に長年貢献してきた会員の小川勝義氏に飯盛会長から表彰状と記念品が手渡された。
「110周年という記念すべき年に佐賀県に所縁のある皆さんとともに祝えてうれしい。中西和彦前会長らが育て上げた会を若い飯盛会長がさらに盛り上げようとしている」と述べ、今後のさらなる会の発展を願った。
苦難や迫害の歴史がある中、110年の歴史を築き、さらに佐賀の若者を受け入れ教育プログラムの充実を図る活動は素晴らしいと話し、「若者には世界にはばたいてもらいたい。そして将来的には佐賀に帰ってきて故郷のために貢献してほしい。県から同会にできることは何でもサポートしたい」とエールを贈った。
来賓として出席した在ロサンゼルス日本国総領事館の津田進領事は、戦前戦後の長きにわたり、試練を克服し郷土愛を共通の絆としながら、今日の日系社会の礎を築いてきた努力に感謝と心からの敬意を表した。
南加日系商工会議所の青木義男会頭は、中西前会長のこれまでの同会への尽力をたたえるとともに、飯盛会長の若い世代ヘのリーダーシップを期待した。
南加県人会協議会の小林正三会長は、同協議会に加盟する県人会の半数以上が100年以上の歴史があるが、同県人会もそのひとつ。同会の先人も言語、偏見、人種差別など過酷な生活を余儀なくされるなか、110年の歴史を築き上げてきたことに感謝の言葉を述べた。
会場には高級和牛として知られる「佐賀牛」をはじめ、同県の地酒の試飲コーナーも設けられ、訪れた人に振る舞われた。
「佐賀には有田焼や佐賀牛など世界に誇れるものはたくさんありますが、美女も作られています」と山口知事から、同県出身で現在ロサンゼルスを拠点に活動している日本初のミスインターナショナル吉松育美さんも紹介され、同会の110周年を祝福した。
「佐賀県は人を作る」の理念のもと、同県に所縁のある学生が加州で起業家精神を学ぶ研修プログラム「佐賀県海外使節団」の一行も式典に出席した。同プログラムは未来を担う若者にグローバルな視野を養うことを目的に行われ、今年で5年目を迎えた。厳しい審査の末選ばれた大学生8人と高校生2人が今年は参加した。
2日から13日までの間、一行はサンフランシスコとロサンゼルスで、現地で活躍する起業家や研究者、政府関係者らと会い視野を広めた。
サンフランシスコではフェイスブック社を訪問したほか、スタンフォード大学やカリフォルニア大学(UC)バークレー校で授業を見学し、北加の起業家との懇親会にも参加した。
ロサンゼルスでは、全米日系人博物館を見学し日系人の歴史を学んだほか、UCLAでの授業見学、当地で活躍する日系コミュニティーの代表者やジャーナリスト、起業家たちと意見交換し、見聞を広めた。
式典ではそれぞれが目標を3つ発表。団長の有松知晃さん(佐賀大学農学部)は、自分の能力を生かし、人と人とのつながりの中から、新しい価値を生みだすことに興味があったという。この思いを成し遂げるためには異なる分野の人と接することが必要で、同プログラムは実現できる最高の機会になると思い志望したと話す。
鶴田晴子さん(弘学館高校1年)の将来の夢はジャーナリスト。海外に目を向けて考えることが必要だと思い同プログラムに参加した。「将来は教科書に自分の名前がのるような人物になりたい」と語り、大きな夢を決して夢だけでは終わらせない決意伝わる発言に、会場からは応援の拍手が鳴った。【吉田純子、写真も】