東京生まれの奈良さんは、亡くなった父親が青森出身という縁で、県人会に入会した。会長就任後は、帰国の度に青森を訪れ、県と市のみならず、ねぶた関連で草の根交流のための人脈作りに努めた。幼少期は、夏休みを青森で過ごしたといい「思い出がいっぱい詰まった『第二の故郷』」と慕う。青森の魅力を「古き良き昔の日本が、たくさん残っている。食べ物が新鮮で、おいしくて安い。空気もきれい」と紹介。さらに「青森の人は、みんな優しい心を持っているので、アメリカ人に自信を持って勧められる」と意欲を示す。
奈良さんは、市役所を後にしたその足で墓参したという。大使の委嘱状を墓前で披露して就任を報告し「天国の父は喜んでいると思う。(任務の全うで)親孝行ができる感じがする。私のルーツは青森。根っこに水をあげるつもりで頑張りたい」といい、ねぶた祭については「必ず成功させて、見に来た人を青森に行きたいという気持ちにさせたい」と、抱負を述べた。
来月、青森からねぶた師を招き同会館で制作を始める、ねぶたを「アメリカ生まれの『青森二世』と表現し「もうすぐベイビーが生まれる。みんなの力で育てよう」と意気込む。将来は、地元スタッフのみで制作する目標を掲げ「今は侍(がモチーフ)だけど、いつかはアメリカ人の顔に変わったり、カウボーイになってもおもしろい」などと、夢を膨らませる。渡米して42年が経つが、しばしば故郷に思いを馳せるそうで「僕の心の支えは、いつも青森。大自然に恵まれた故郷は、人情味があり温かくていい」と語り、観光大使としての献身を誓う。【永田潤】