北陸新幹線が金沢まで開業して約ひと月。所要で出かける夫に同行して、一泊二日で金沢を訪れた。
金沢市の台所として知られる近江町市場は、多くの人でにぎわっていた。海の幸・山の幸の溢れる市場の一角では、ウニや生ガキ、ホタテ、甘海老などを買ってその場で食べることが出来る。祭りの露店で食べ物をほおばるような雰囲気に、観光気分が高まる。
街の中央、小高い丘の上に広がる金沢城公園とそれに続く兼六園は、桜満開の週末とあって花見に繰り出す地元の人も多く、一時は人をかき分けるようにして歩を進めるありさまだった。眺望の良い地点では、遠くに走る新幹線をカメラにおさめようとその瞬間を待つ人々も。新幹線開業で兼六園の入場者は2倍になったとか。「まいどさん」と呼ばれる観光ボランティアガイドの活躍する姿が印象に残った。
「金沢観光はどこがお勧めですか」と数人の金沢人に尋ねると、いずれも「21世紀美術館が面白いですよ」という返事が返って来た。金沢城公園や兼六園に近い金沢21世紀美術館は、円形で全面ガラス張りの美術館。まちに開かれた公園のような美術館を目指したというだけあって建物の内も外も遊び心がいっぱいで、私たち夫婦も午後のひとときを楽しんだ。
同じ日、地元金沢の北國新聞は、安倍晋三首相の石川県入りを夕刊トップで大きく報じた。北陸新幹線に初めて乗車しての石川入りで首相は、JR金沢駅のほか街づくりのモデルケースや農業法人を視察。続いて福井県でも新幹線延長の予定されているJR福井駅などを訪れたとのこと。これは、安倍政権が最重要課題とする「地方創生」をアピールするほか、26日からの訪米を前に日本の高い新幹線技術を実感し、米国でのトップセールスに役立てる狙いもあったらしい。
さて、その新幹線だが、東京―金沢間には「かがやき」と「はくたか」が走っている。「かがやき」は、東京を出ると金沢までは上野・大宮・長野・富山のみ停車の最速列車で、所要時間は2時間28分。これに対し「はくたか」は新幹線各駅に停車する。次回は「はくたか」で黒部宇奈月温泉駅下車も楽しいかもしれない。【楠瀬明子】