「春です、プランタ〜ン無理もない」
眠くて、眠くて堪らない昼下がり、ふと、口をついて出てきたメロディー。子供の頃に、歌っていた。歌詞は定かでない。メロディーが好きで、春です、春です、プランタン無理もない♪ と鼻歌みたいに繰り返していた。
ネットで調べて、この歌が終戦後の1946年から62年まで放送されていたNHKのラジオ歌謡だったということ、夏の思い出、森の水車、あざみの歌、さくら貝の歌、雪の降るまちをなど、今も歌われている数々の歌がこの時発表されたということが分かった。
「猫です/今夜もセレナーデ/春です/ああ/プランタン無理もない…」作詞はサトウハチロー、そうだったのか、簡潔明瞭な言葉のハチローの詩が好きだ。中田喜直の曲がまたいい。訳も分からず歌っていた曲が、何十年もの時を経て、今まさに私の心をとらえていることに、ちょっぴり感動する。
曲といえば、ラジオ体操の第1、第2の作曲がそれぞれ、服部正と團伊玖磨だと知ってヘエーッと驚きもした。
今は亡きこれらの方々から、いかに多大な恩恵を受けてきたかを知らされた昼下がりともなった。
いろいろなことを教えてくれる重宝なインターネットだけれど、普及初期の頃はそうでもなかった。
ずっと昔、勤務先で経理にコンピューターを入れることになった。デモンストレーションでネットの検索をしてみせてくれたのだけれど、知りたい項目にはほんの数行しか答えがなく、「なーんだ」頼りにはならないと、興ざめした覚えがある。あれからわずかウン十年で、蜘蛛の巣がまたたくまに地球をかけめぐったのだ、と感慨深い。
当時はコンピューター立ち上げのパスワードも、呪文のような長いアルファベットを打ち込まなければならず、今のように簡単に起動はしなかった。作業はといえば、経理のこれまでのデータを何日もかかって入力して、揚げ句に途中でパンク。バックアップをとってなかったので、修復に深夜近くまで、何日も残業をしたことも、今は懐かしい。パソコン世代には信じられない話であろうと思う。【中島千絵】