同法案が承認されたことにより今後、加州では末期患者が医師の処方で命を絶つことが認められることになる。適用されるのは余命6カ月未満の宣告を受けた末期患者。条件として自分で「死ぬ権利」の選択を決める能力があること、2人の証人(うち1人は家族以外)立ち会いのもと自ら要求書を作成し、患者が口頭で2回申請することが求められる。
同法案は今年はじめに加州議会に提出され、加州下院では賛成43、反対34で、加州上院では賛成23、反対14で可決していた。その後、法案はブラウン知事のもとに送られ、同知事は法案に署名するか、拒否権を発動するか10月11日までの決断を迫られていた。カトリック教徒であり、キリスト教イエズス会の神学校に通っていたブラウン知事は、州議会で同法案が可決された後も署名するか否か態度を明らかにしていなかった。
同法案は、昨年11月、末期の脳腫瘍と診断され、住んでいた加州サンフランシスコから尊厳死が合法化されているオレゴン州に移住したブリタニー・メイナードさんの死がきっかけとなった。
メイナードさんは尊厳死を予告する動画をインターネット上に公開。自宅で医師から処方された薬を服用し死去した。享年29だった。メイナードさんは生前、ブラウン知事に尊厳死を認めるよう働きかけていたという。
反対派は、同法案は早すぎる死と自殺を助長すると危惧。障害者団体のほか、カトリック教徒など自殺を認めない宗教団体は、神の意志に反するとして同法案に反対している。
一方、賛成派は、同法案は末期患者にのみ適用されるのであって、治る見込みのある患者には適用されないとして同法案支持を呼び掛けていた。
ブラウン知事が署名したことにより、同法案は2016年から施行される予定。【吉田純子】