テロへの警戒を強め、不測の事態に備え対応していきたいと話すガーセッティーLA市長(右)とLAPDのチャーリー・ベック本部長
テロへの警戒を強め、不測の事態に備え対応していきたいと話すガーセッティーLA市長(右)とLAPDのチャーリー・ベック本部長

 フランス・パリや加州サンバナディーノ市でテロ事件が発生して以来、各地でテロへの警戒が強まる中、ロサンゼルス市のエリック・ガーセッティー市長とロサンゼルス市警察(LAPD)のチャーリー・ベック本部長らは18日、同市で特殊部隊(SWAT)などによるテロ対策特別訓練を実施するなど、今後より一層テロへの対策を強化すると発表した。【吉田純子、写真も】

 同日行われた訓練には同市のSWATチームをはじめ、ロサンゼルス市消防局(LAFD)、ロサンゼルス郡シェリフ局、カリフォルニア州ハイウエーパトロール(CHP)、それに警察当局の職員ら合わせておよそ400人が参加。パリ同時多発テロと同様に、同市内の数カ所で同時にテロが発生した事態を想定し訓練が行われた。
 今回はロサンゼルス国際空港(LAX)とドジャースタジアム周辺でテロが発生した事態を想定して訓練が実施されたが、訓練の詳しい内容については危機管理の観点から公表は見送られた。
 ガーセッティーLA市長は「市民の安全を守ることが最重要課題。不測の事態に備え、警察当局は日頃訓練を重ねており、迅速かつ適切な対応ができる」と力を込めた。また、LAはさまざまな人種が暮らす都市であることもふまえ、緊急事態が発生した場合は英語だけでなく多言語で市民に情報提供できるよう対応していきたいと話した。
 LA近郊のサンバナディーノでは今月2日に銃乱射によるテロ事件が発生し、14人が死亡、21人が負傷する惨事が発生したばかり。
 またLA市では14日、ロサンゼルス統一学校区(LAUSD)に対し、生徒に危険を及ぼすとの内容の脅迫があり、翌15日に全校に休校措置が取られた。LAUSDは全900校以上、187校のチャータースクールがあり、およそ64万人以上の生徒が影響を受けた。こうした事態を受け、連邦捜査局(FBI)も出動し捜査が行われたが、爆発物などの不審物は発見されず、悪質ないたずらだったとみられている。
 LAPDのマイケル・ダウニング副本部長によると、警察当局職員は来年初頭にパリに出張し、テロ後の対応などについて研修を受けてくる予定だという。また同市は今年はじめにパリの新聞社「シャルリー・エブド」が襲撃された後も同市職員を現地に派遣し、行政が行うべき対応などについて調査してきたという。
 LAPDのベック本部長は「LA市がテロの標的にならないとは断言できない。万が一の事態に備え、訓練を実施することは非常に重要なことである」と話し、今後もさまざまな状況を想定した訓練を行うとしている。次回はダウンタウンの高層ビルで実施する予定。

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