生活でパソコンの使用が増えて漢字が書けなくなっている。PCで日本文を書く時の漢字の自動変換は便利で、難しい字も読むのは問題ないから容易に文章作りが進むが、手書きの能力は落ちる一方だ。手で書くとしばしば漢字の細部を忘れているのに気付く。これはいかんと最近は手書きに努めている。すると漢字の面白さを再発見し、由来への思いが駆け回る時が増えた。
漢字には山川木林森東田人日女などの象形文字もうまく作ったと感心する例が多いがやはり表意文字の由来が味わい深い。例えば今日は仕事が捗ったと書いた時にハカドルとは手で歩むか、と気づき大いに感心する。普段ワープロでは打ち進むだけで見逃している漢字の面白さに気付くのだ。紀元前の大陸製だけでなく後年の日本製の漢字も含めて先人たちの漢字造りの創意工夫が偲ばれる。それで最近は一つの字が気になると、思いが周辺を回り出し楽しい。昔そうだったのが復活した。
今回はふと男と女の字を考え出した。男女については、子宮の形が女だそうだが、田んぼで力を出すのが男、実際は昔から田んぼで働く人の半分かそれ以上が女だったようだが。さて女偏の字は多数あるが一方男編の字は無い。嬲(なぶ)るが一字有り、見たとおり意味深な字だがこれは読める人は少なく実際は余り使わない。
女偏の字は多く、姑、姥、嬶、妊、娠、娼、媚、奸、妖、婢、嫌、姦、妾などなど申し訳ないが余り女性が好きそうでない字も多い。
一方、好、始、姓、姉、妹、姐、娘、嬢、姫、妃、嫁、婦、婚、姻、妙など好ましい意味の字もたくさんある。どれも偏とつくりの構成を見ると中の意味合いが読み取れる。始、姓、好などはどれも命の始まりが女性によってもたらされることに由来があるようだ。始まりの台のつくりは胎盤の意。婦のつくりはホウキ。妙は元々美しいの意味だがそういう女は少ないの示唆? 女のきょうだいは女偏で姉妹だが男のきょうだいは男偏の字が無く兄弟となる。女偏ではないが海の字には母が入っている。地球の歴史で海が生命の根源であるとされているのと合致する。総じて女偏の字には女性の生の根幹部に関わる重みを感じるのだ。
手書きの効用、漢字雑感をいつかまた。【半田俊夫】