ロサンゼルス市長の施政方針演説が行われた14日、会場前でアリソ・キャニオンの施設閉鎖を訴えていた「Save Porter Ranch」のメンバー

ロサンゼルス市長の施政方針演説が行われた14日、会場前でアリソ・キャニオンの施設閉鎖を訴えていた「Save Porter Ranch」のメンバー

 4カ月近くにわたり大量のメタンガスが漏出したロサンゼルス北部ポーターランチにあるアリソ・キャニオンのガス貯蔵施設で、新たな漏出事故が発生した。漏出源はクリムソン・リソース・マネジメント社が運営する油井。施設内の相次ぐ漏出事故に住民の不安は募るばかりだ。【吉田純子、写真も】

 漏出事故は16日午前8時半ころに発生。以前ガス漏出事故が起こっていたガス井とは別の貯蔵井戸でガスと石油が漏れているのが確認された。
 漏出は2時間後の午前10時半頃にくい止められたが、漏出した石油は推定50ガロン。ガスの漏出量は現在までのところ分かっていない。
 3600エーカーあるアリソ・キャニオンの敷地内では南カリフォルニア・ガス・カンパニー(SoCal Gas Co)のガス貯蔵施設のほか、ロングビーチに拠点を置くターモ石油など数社が石油採掘を行っている。
 ターモ石油社は同敷地内に18の油井を所有し、石油採掘をする際に発生したガスを同じ敷地内にあるSoCalGas社のガス貯蔵施設に送り、貯蔵している。しかし先月、石油採掘の際に発生したガスを故意に大気中に放出し、証拠隠滅を図った疑いがもたれ、同社は7万5千ドルの罰金が科せられたばかり。
 昨年10月23日から今年2月18日まで漏出事故が発生していたガス井はSoCal Gas社が運営しており、この事故で10万7千トンのメタンガスが大気中に放出され、米史上最大のメタンガス漏出事故となった。
 今回の漏出事故は同社が運営する貯蔵井戸ではなく、コロラド州デンバーを拠点とするクリムソン・リソース・マネジメント社が運営する油井だった。SoCal Gas社は事故後声明で、同社と今回の漏出事故は関連性がないことを発表している。
 施設内の貯蔵井戸は1950年代に作られた井戸が多く、老朽化による安全性の不備がかねてから指摘されている。
 ガス会社が貯蔵しているガスは臭いでガスの漏洩を感知できるよう付臭剤としてメルカプタンと呼ばれる物質を添加しているが、石油採掘の際に発生するガスはそうした加工をしておらず無臭であるため、住民からは無臭のガスは気付くことが困難なため、さらに不安が募るとの声も聞かれる。
 南カリフォルニア大気環境管理局には13日の時点で異臭がするとの苦情が40件以上寄せられたという。ただ今回の事故との関連性は分かっていない。
 ポーターランチの住民を守るため発足されたNPO「Save Porter Ranch」の代表のひとり日比野恭子さんは「数百ある貯蔵井戸は老朽化が問題視され、1回漏出事故が起こるたびに大気汚染など環境への影響だけでなく、住民への健康被害も出ている。相次ぐ事故といつまた起こるかもしれない不安から住民の精神的なダメージは大きい」と話し、施設全体の閉鎖を求めている。

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