東京シティカップを制したビッグ・ジョン・B
東京シティカップを制したビッグ・ジョン・B
 サンタアニタ競馬場は、東京・大井競馬場との友好提携を記念した春恒例のレース「東京シティカップ」を3日、開催し両競馬場は21年にわたる固い絆を再確認した。記念レース開催を祝う「ジャパン・ファミリーデー」が催され、さまざまな日本文化を紹介、競馬を通した日米交流を促進した。【永田潤、写真も】

野点で点前を披露する裏千家のジョアン広瀬さん
野点で点前を披露する裏千家のジョアン広瀬さん
 東京シティカップ(第8レース、ダート1・5マイル)は、総額10万ドルの重賞レース(GⅢ)に指定され、今年も強豪馬がエントリーし盛り上がった。ラファエル・バファラノが騎乗したビッグ・ジョン・Bが、2馬身と4分の1差をつけ優勝し、賞金6万ドルを獲得した。ウイナーズ・サークルでは、騎手や馬主、両競馬場の関係者が鏡開きを行い、着物姿の女性が参加し花を添え、升酒で祝杯を挙げた。
 特別イベント「ジャパン・ファミリーデー」は、今年で15回目。成熟した両競馬場の友好を祝し、日本のさまざまな文化や日本の観光名所などを紹介し、競馬ファンや家族連れなど多くの参加者を喜ばせた。
 茶道、華道、書道、折紙、空手、相撲、剣道、古武道、民謡、琉球舞踊、津軽三味線、下駄舞踊アート、太鼓など多くの日本の伝統文化・芸能に加え、アニメ関連などサブカルチャーを紹介した。
 参加者はただ見学するだけでなく、折り紙を折ったり、書道では自分の名前を書いたり、土俵に上がって巨漢力士と対戦したり、ステージで出演者と民謡を唄ったりする趣向を凝らした体験型が受け、大人から子どもまで家族全員が日本文化を堪能。また、和食ではすし、たこ焼き、カレー、肉まん・あんまん、日本酒、お茶、ラムネなどが販売され、お祭りコーナーでは、お面が並び、子どもたちがヨーヨー釣りやおもちゃすくいに興じて、縁日のような雰囲気を醸し出した。
飛び入り参加者が土俵に上がり、元全米横綱を倒す男の子
飛び入り参加者が土俵に上がり、元全米横綱を倒す男の子
 堀之内秀久総領事は、両競馬場の友好を高く評価した。日本文化紹介イベントについては「人が溢れるほど参加し、あらためていい企画だと思った。太鼓や居合いなど多くの日本文化を紹介し、ありがたい」と述べた。この日の最終レースで、自身の役職を冠した「日本国総領事杯」を間近で観戦し、勝者に祝い酒を贈った。優勝馬に騎乗した騎手が、大井競馬場で数年間参戦していたと知らされ「日米の交流が競馬でも、行われていて密だとわかった。いつか、日本の馬がこの東京シティカップで走り、そして栄冠を勝ち取ればうれしい。そして、アメリカで活躍している馬と騎手が日本に行って、どんどん活躍してもらえれば親しみが出て、交流はいっそう深まるだろう」と期待を寄せた。

競馬文化を通じ国際交流
「お互いに末長く継続」

 1995年の友好提携締結後、サンタアニタは「東京シティカップ」、大井は「サンタアニタ・トロフィー」、それぞれで記念レースを開き競馬文化を通じ国際交流を深めている。提携は事業面の情報・意見交換のみならず、騎手と調教師が行き来した技術交流も進め、競走馬も大井に出走するなど、深まるばかりの交流の継続を願う。大井は、サンタアニタから学んだ施設の改良や顧客サービスの向上などに役立てている。
 来米した大井競馬の特別区競馬組合・副管理者開催執行委員長の斉藤弘さんと、東京馬主会の事務局長の内田尚広さんは、ウイニング・サークルで馬主に優勝トロフィーを手渡した。
優勝ジョッキーのラファエル・バファラノ(右)を祝福する大井競馬特別区競馬組合の斉藤弘・副管理者開催執行委員長
優勝ジョッキーのラファエル・バファラノ(右)を祝福する大井競馬特別区競馬組合の斉藤弘・副管理者開催執行委員長
 斉藤さんは、サンタアニタのジョー・モリソン社長とピーター・D・シーバレル特別企画担当役員と面談し、サンタアニタ・トロフィー開催の継続に対し感謝されたといい「お互いに末長くこの友好提携を継続していくことを確認した」と話した。今回で同競馬場訪問は5度目だといい、サンタアニタについて「ゆっくり食事をしながら競馬を楽しむ環境を整えて、来るたびに施設面を充実させて、お客さんを誘致して楽しませる工夫がすばらしい」といい、グループ客のためのボックス席を拡充させるなど、多いに参考になったという。大井は、競馬場の来場者数が減っており、約6割がインターネットで馬券を購入しているといい「実際に競馬場に来て、ライブで競馬を楽しんでもらいたいので、サンタアニタの取り組みが、すごく勉強になった」と収穫を得た面持ちで語った。
 サンタアニタに初めて訪れた内田さんは「きれいな山をバックにした大自然、クラシカルなスタイルの競馬場、カラッとした湿度の気候などすべてがすばらしい。おいしい食事を食べながら、大好きな競馬を見るのは最高の環境だと思う」とし、ブリーダーカップなど大きなレースが開催される同競馬場については「名実ともに権威がある競馬場だとわかった」と述べた。「出走前の競走馬に帯同するポニーと、降馬時に対応するクォーター・ホースの制度を知り馬本位に考えられ、印象的だった。サンタアニタのいいところをすべて取り入れ、大井も一歩でも近づければいい」と抱負を述べた。
お母さんとともにヨーヨー釣りに興じる子どもたち
お母さんとともにヨーヨー釣りに興じる子どもたち
 サンタアニタのピーター・D・シーバレル特別企画担当役員は、ジャパン・ファミリーデーについて「年々規模が大きくなり、パドック付近で大勢の人々が日本の文化を楽しんだ。グランドスタンド前でもパフォーマンスを演じてもらい、われわれのレースファンを楽しませてくれて、とてもありがたく思っている」と話した。日系コミュニティーからの来場者が多かったとし「初めてこのパークに来た日本人も多くいたと思う。今日のイベントをきっかけに競馬に興味を持って、また競馬場を訪れてもらえればうれしい」と願った。大井競馬場との友好提携の継続に意欲を示し「ずっと続けてきて、大井とわれわれにとって、この21年間はいいことばかりだった。もちろん、これからも続けて行きたい」と話した。
東京シティカップのウイニング・サークルで勝利を祝う関係者ら
東京シティカップのウイニング・サークルで勝利を祝う関係者ら

日系のチアリーダーズによる華やかな演技
日系のチアリーダーズによる華やかな演技

力強い演奏を披露し、大きな拍手を受けたLA祭太鼓
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