昨年秋に開催されたラグビーワールドカップで日本は強豪南アフリカを破り大いに盛り上がった。
 今年、日本を本拠地とし、日本人選手を中心にしたサンウルブズというチームが結成され、国際大会の最高峰といわれるスーパーラグビーに参戦した。あと1試合を残し、これまで1勝12敗1引き分けの苦しい戦績。しかし国際レベルに少しずつだが近付いてはいる。
 現在日本代表の世界ランクは12位。1位は「オールブラックス」の愛称を持つニュージーランド。アメリカ(愛称「イーグルス」)は16位。
 数年前、日本代表がロサンゼルスに来てアメリカ代表と試合を行った。最後追い上げられたが37対29で見事な勝利を収めた。会場で観戦中、近くのアメリカ人のおばさんが、「どうして日本は外人選手がいるのよ…?」と不満そうに顔をしかめた。
 ラグビーの国際ルールでは、国籍ではなく、外国生まれでも、その国で3年以上継続して居住したり、両親や祖父母のうち一人がその国で出生したなら資格が与えられる。いわゆる日本代表になった外国人選手だが、日本の高校や大学時代から留学したり、日本の社会人トップリーグで活躍している選手が大半だ。文化や言葉も十分理解し、既に日本の国籍を取得した選手も多い。
 最近イーグルスの試合をTVで見た。選手たちの動きが良かった。調べてみると、アメリカ代表も35人のうち10人が、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ、ジンバブエ、アイルランド、ウェールズ出身の多種多様にわたる選手たちで形成されていた。
 またイタリア、カナダ、フランス、ウェールズ、そしてオールブラックスさえも多数の他国出身の選手たちが代表に選出されている。各国でボーダーレスの国際化が進む。ちなみに昨年のワールドカップに参加した20カ国のうち、本国出身選手のみで形成されたチームは、アルゼンチンのみだった。
 国代表でプレーすることは、誇りであり、名誉なことだ。外見より、この国のために戦う、という内に秘める魂の問題なのだ。諸々意見もあるが、固定観念を超えることも重要である。
【長土居政史】

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