日本の参議院選挙が実施された。今回から選挙権年齢が18歳以上に引き下げられ、日本全体で約240万人の若者が新たに選挙権を得たという。国の将来をになう若い人たちの意見を政治にも取り入れ、若者からの政治離れを防ぐ狙いと、新有権者の意識に期待し、全体の投票率を上昇させたい狙いもあったようだ。だが報道によると、今回の参議院選における投票率は全体で54・7%(朝日新聞速報)となり、前回を上回ったものの、戦後4番目の低さだったという。
 日本より一足先に6月23日から7月3日まで当地ロサンゼルスでも参議院選挙の在外投票が行われ、私たち夫婦も投票を済ませたが、投票したのがウイークデーの昼過ぎだったこともあり、投票所で見かけた有権者は数人だけだった。数はそれほど多くないが、私が知る若い日本人駐在員や留学生に今回の在外投票への意識を聞いても、残念ながら在外選挙人登録すら済ませていない人が多かった。
 彼らの答えは「面倒くさい」「興味も関心もない」中には「『せっかく』の独立記念日を含む連休なので旅行したい」と、『せっかく』という言葉の使い方を勘違いしているのではないかと疑う若者までいた。私たち在外邦人も日本の政治にもっと関わりを持たねばならないはずだ。当地で最終的にどのくらいの有権者が投票に訪れたか、まだ聞いていないが、気になるところだ。
 日本全体として各政党は、あまり選挙に行かない若者よりも、人数も多く投票に行く高齢者を重視した政策に重点をおきがちになり、若年層にとって不利な政治が行われる結果となってしまう。そういう意味では、私のようなシニア層にとって、若い人たちの政治への無関心や投票率の低下は『ありがたい』ことではあるが、長い目で日本を考えた時、そうもいっていられない。
 最近、日本の国会前や各都市で若者が安保法制問題などで声を上げ始めているが、まだ大勢は無関心の層が多いと思う。高年齢層も決して高い投票率とはいえないが、未来ある若年層が今の政治に不満をいう前に投票行動を通じて、もっと政治へ参加するよう期待したい。【河合将介】

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