同協会は19支部で構成し毎年、全米会議を各都市持ち回りで開いており、今年は南加・アリゾナ支部(ケリー・リッチ、ステファニー・シンプソン—ホワイト共同支部長)がホストを務めた。全米の各支部長らを招集し、4日間にわたり日米の関係強化に向けての各支部の役割や支部間の連携、新支部の設立計画など、さまざまなな議題に沿って意見を交わした。
レセプションでホストを務めた千葉明総領事があいさつに立ち、JETプログラムでの活動への謝意と、来年の協会設立30周年に祝意を表した。参加者に向け「JETでの役目を果たしたが、日米の橋渡しの役目は始まったばかりであり、キャリアを生かして日米の特別の関係を維持してもらいたい」と呼びかけた。「アメリカに住む新しい町と第2の故郷の日本の町との姉妹提携活動に参加し、また大好きな県人会に入会してほしい」と促し「日本との絆を強める活動を継続してほしい」と期待を寄せた。
日本でJETプログラム参加者の活動を支える「自治体国際協会」で参与を務める福川正浩さんが来米し、全米大会に参加した。同レセプションで乾杯の音頭をとった福川さんは、あいさつで、元参加者の日本と帰国後の活動をたたえ「日本を第2の故郷と思ってほしい」と願い、同協会の30周年記念と発展の前途を祝した。
福川さんによると、JETプログラムは1987年に848人が参加してスタートし、現在は40カ国から約5000人が全国で活動する。参加者の9割が英語教育、ほか1割は国際交流に携わるという。滞日期間は最大5年、平均2年から3年で「親日家になった参加者は、本国に戻っても日本との関係で重要な役割を果たす」と話し、同窓会協会の意義を強調する。参加者全体の半分以上の約2700人が米国人で占めるといい「帰国した一般のアメリカ人が、日本について意見を投稿したりすると大きな効果がある」と強調する。「親日家の拡大は、日本の最大の安全保障である」と表現し「日本との関係を維持し、懸け橋になってもらいたい」と願った。
参加者は、レセプションに招かれた南加の各県人会会長らと談笑し、日本時代の思い出や各支部での活動を紹介した。ミネソタ支部からは、支部長のケイト・サーズレフさんと、Eメールの渉外係のステファニー・ベンハ厶さんが参加した。2人はともに日本で英語を教えたといいい「日本と教え子が恋しい」と口を揃え、訪日を待ちわびる。
サーズレフさんは和歌山県海南市に3年間暮し、中学校に勤務した。旅が好きで、地元と京阪神、東京の神社仏閣を巡ったスタンプラリーと、那智の火祭(扇祭)、岡山の裸祭、岸和田のだんじり祭に参加し「岸和田の屋台で買った、たこ焼きで舌を焼けどした」ことも、いい思い出だという。全米会議については「とても忙しかったけど、初対面の会員と話すことができた。日系の非営利団体とのコラボレーションや会員の互助、帰国者の就職支援など、さまざまな情報を交換し意義深かった」と述べた。
ベンハ厶さんは4年間、埼玉県久喜市と栗橋町の小中学校で英語を教えた。現在はダラスの日系企業に勤め、日本のアニメの翻訳を行うかたわら、スカイプで日本とつなぎ英語を教えている。支部の活動について「アメリカ人に日本や日本文化を教えたい」という使命に意欲を示した。【永田潤、写真も】