県は、生産者と消費者、流通関係者が一体となったブランドづくりに取り組んでおり、今回はその一環として、最大の輸出国と目する米国での販促を企画した。米市場参入を2年後に定めるのは、新設した食肉処理施設を国際的な衛生管理基準の「HACCP」認証を得る手続きのためだという。
霜降りの豊後牛の特徴は、大分県農林水産部のブランド推進課課長の後藤陽一さんによると、牛肉のおいしさを示す「オレイン酸」の数値が高く、前回の品評会「全国和牛能力共進会」で、5部門のうち2部門で1位、総合で3位に輝いた「トップブランドである」と胸を張る。味については「脂が乗って非常にあまみがある。フォアグラ、キャビアと並び、豊後のジャパニーズ和牛を『世界三大美味』だと、アメリカ人にお勧めができる」と、自信を込めて訴える。食べ方は「肉の素材そのものを味わってもらいたい」とし、うま味が伝わる、軽くあぶった生に近いたたきや、すしネタとしての生、あっさりとしたしゃぶしゃぶなどを勧める。
太田副知事は、他の県産品の乾しいたけ、養殖ブリ、地酒、麦焼酎などが米市場に広まりつつあることを強調し「豊後牛もこれらの後に続き、アメリカで浸透させたい」と意気込む。現在の輸出先は、ベトナム、マカオ、タイの東南アジアが中心だといい「アメリカの後は、EUに輸出したい」と述べ、米国を突破口に世界に売り込む考えを示した。
肉牛の肥育から処理加工、流通を行う「ミート・クレスト」社社長の清田浩徳さんは、他県産和牛と比較し「えさなど肥育にこだわっている。安全性で一番高い対米輸出をクリアーすれば、世界が見えてくる」と、最大の商機と捉える。
回転すし「ガッテン」では、豊後牛の10日間のプロモーションを行い、すしネタとして提供した。大分からの訪米団を歓迎し、来店した副知事らがセレモニーにでスピーチし、おいしさを伝えた。
ガッテンすしの横田正義社長は、日本の政府事業「クール・ジャパン」の一環としての食材の輸出拡大政策を支持し「アメリカに高品質の素材が日本から送られ、輸入することができる」と強調する。数ある和牛の中で、豊後牛を選んだ理由を「極めて品質が高く、おいしいから」と説明。「すしは世界に広まり、特にアメリカでは人気がある。大分県からおいしい最高の豊後牛を入手し、お客さんに提供できることができうれしい」と喜んでいる。【永田潤、写真も】