年の瀬。正月が近づく。ふと子供の頃の日本の正月を思い起こした。生まれ育った実家は東京の真ん中の文京区。
元旦の朝はきちんと早起きしていつもより良い服を着た。新年を迎えるのは子供心にも改まった気持ちで、空気も引き締まって清らかな感じがした。前夜、31日の夜は紅白歌番組にゆく年くる年などの番組や除夜の鐘を小さい頃はラジオ、後年はTVで見て大晦日の感慨をたっぷり味わい寝ている。起きると家族6人揃ってまず、明けましておめでとうございますのあいさつ、それから子供でもこの日はお屠蘇を朱色の木盃で頂き祝う。この辺で父から子供4人はお祝い袋のお年玉を貰う。頭を下げて両手で頂いたと思う。後で開けて金額を見るのが楽しみだった。そして母が数日かけて作っていたおせち料理と関東風お雑煮を皆で。子供の頃おせち料理はおいしいと思わなかった。今は一杯やるせいか、味わいを文化としても楽しめる。
その後は庭に出て妹と羽根つきなどしたこともある。いかにもだが実際にしていた。それから兄弟たちとキャッチボールという具合だった。いつも良い天気だった。暮れは街が何とはなしに慌ただしい空気の中にラジオ、テレビは一年を振り返る総集編的な番組が続き、一年が終わるという感慨とせわしさの気分いっぱい。明けて元旦となると突然に日本中の空気が一変するのだなと思った。正月以降はTV番組ものんびり気分に感じられた。振り返る今、一家は日本に兄弟2人と僕の3人だけになった。
ここLAでの元旦はこの十数年ずっとボランティア出動だ。南加日商が毎年LA小東京で開催するお正月行事に参加。2度ほど日本里帰りや米国内旅行などに出た以外は朝からずっと終日小東京だ。南加の日系子女や米国人に日本のお正月文化を味わってもらう趣旨で、2カ所の舞台で伝統芸能などを楽しんでもらう。僕も舞台であいさつしたり、鏡割りや書道デモ出演、時には家内や孫二人と一緒にブースで売り子担当などいろいろやってきた。この正月は案内ブース。子供の頃とは大分違う正月風景だがこれからも続ける。
時間のある方はぜひお出かけください。皆さん佳いお年を。【半田俊夫】