「あの人高齢だけど、頭はとってもクリアよ」。あなたの周りにいるそんな人、もしかしたらその人、「スーパーエイジャー」かもしれません。
スーパーエイジャー、それは80歳を超えてもなお、55歳前後と同じ程度の記憶力を持つ人々のことをいう。
どれほどすごいのかというと、15分間に15の単語を覚えるテストをすると、一般的な80歳以上は5単語ほどしか思い出せないところ、スーパーエイジャーはその倍近い9単語くらい思い出すことができるのだという。
こうしたスーパーエイジャーと一般的な高齢者との違いは何なのか。秘密は脳にあるという。シカゴのノースウェスタン大学の研究によると、MRIの検査結果からスーパーエイジャーの脳は一般的な高齢者と比べ脳の萎縮速度が2倍以上遅く、さらに自律神経の働きのほか共感や喜びなど感情の認知機能に関わる前帯状皮質と呼ばれる部分が、同年代の高齢者より厚みがあることが分かった。
どうしたらスーパーエイジャーに近づけるようになるのか。ハーバード・ヘルス・パブリケーションの記事の中で脳神経学者が、年を重ねても頭のキレを保つため、生活習慣にちょっとした変化を加えてみることをアドバイスしている。
それは自分を甘やかさない、つまり簡単にすぐできてしまうことはやらず、自分の限界を少しだけ超えてみる訓練を日常の中ですること。例えば外国語を勉強したり、楽器を習ってみたり、発表会に出てみるなど、ちょっとした刺激を与えてみるといいという。
そういえば、日系社会にはこうした項目に当てはまる人々がたくさんいる。茶道や華道、日本舞踊、民謡、詩吟など、米国で日本の伝統文化を学び、発表会に参加する人々は、自分の好きなこと、興味のあることを探求し、日々練習に励み、年に数回は発表会で人前に立って披露する。ステージに立つ前は緊張感や不安を抱くこともあるだろう。しかし乗り越えることでやり遂げた後の達成感は人知れず大きいに違いない。ひょっとしたらロサンゼルスの日系社会はスーパーエイジャーの人口密度が高いかもしれません。【吉田純子】