東京からみえた客人が、「5月の南カリフォルニアはスカッと青空が広がり、好天続きのイメージなのに、けっこう曇天の日が多い」と言う。
 そう、今年は雨も風も雷の日もあって、さらに所によっては雹(ひょう)さえ降り、5月としては例外的な荒天。それでも先週末からやっと南カリフォルニアらしさが戻ってきた感じだ。
 1970年代初めには「It Never Rains In Southern California」(カリフォルニアの青い空)という曲がいつもラジオから流れていた。カリフォルニアで成功する甘い夢を見て田舎からハリウッドに出てきた若者にとって、「南カリフォルニアだって土砂降りの日もある」厳しい現実を歌って、共感を呼んだ。
 第一次オイルショック前の、そのころのカリフォルニアは、右も左も大型車。排気ガス規制も緩かったから夏場はスモッグ警報の出る日が続いた。健康への悪影響を懸念した州議会が1982年、2年ごとのスモッグ・チェックを義務づける法案を可決。ブラウン知事(第1次)が署名し、84年3月から実施。
 以来、三十数年。スモッグは大幅に減少したものの、飛行機から見下ろすと、今もサンファナンドバレーからサンゲーブルバレーの広い範囲が薄い黄土色したモヤに包まれている。
 そうした中、先週、スモッグテストに行く。費用は当初の30ドル台から今では60ドル台に倍増しているし、車が古くなるのに従い安くなるはずの登録料も最近では逆に年々引き上げられている始末。
 ブラウン知事(第2次)は先月、財政難を理由に道路の補修もままならないとして、ガソリン税と車両登録税を引き上げ、年間52億ドルを調達する法案に署名。予算が不足したら増税して埋め合わせる発想なら、誰にだって政治は出来る。
 よって、ガソリン税は11月から12セント引き上げられて30セントになり、その他にも17セント課税されて1ガロン当たり47セントに。ここで面白いのは、ガソリンを消費しない電気自動車にも相応の負担を課していることだ。同じ道路を走っているからとの理屈で、年間100ドルの課税。ただし業界のゴリ押し陳情により、発効は2020年に先送りされた。
 政界には、スカッとした五月晴れなんて期待できそうにない。【石原 嵩】

Leave a comment

Your email address will not be published. Required fields are marked *